おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

徒然Ruby(31)Rails7 慣例にそったプログラミング

今回はRailsの慣例に沿った形でWordbookを作り直します。

Convention Over Configuration

Railsには「Convention Over Configuration」(設定より規約が優先)という哲学があります。 「規約」とは「プログラミングの約束事」ですが、「プログラミングの慣例」あるいは「習慣」と言う方が合っているかもしれません。 というのは、この「規約」というのは「絶対に守らなければいけないルール」ではなく、「Railsが勧めるより良いプログラミングの方法」のことなのです。

そのひとつに、コントローラのアクションは7つにまとめることができる、というのがあります。

  • index: 最初の画面。モデル全体のリストを表示させることが多い
  • show: ひとつのモデルのデータを表示。クライアントはindexから項目をクリックしてshowに遷移することが多い
  • new: モデルの新規作成の画面
  • create: new画面から送られたデータにより、モデルを新規作成するアクション
  • edit: 既存のモデルのデータを変更するための画面。クライアントはshowからアクセスすることが多い
  • update: edit画面から送られたデータにより、モデルを更新するアクション
  • destroy: 既存のモデルを消去するアクション。クライアントはshowから遷移することが多い

Railsでは、「RESTful」(レストフル)なウェブアクセスでは、アクションをこの7つにまとめることができる、としています。 RESTfulは形容詞で「RESTな」ということです。 では、RESTとは何かというと、それは「Representational State Transfer」を短くしたもので、ウェブ・インターフェースのアーキテクチャスタイルです。 これでは説明にならないと思うので、具体的に説明すると次の4つを持つスタイルです

  • ステートレス(「状態」を持たない)。 例えば、ログインするようなサイトは「ログイン状態」という状態を持っているので、ステートレスではありません。 ログイン無しのサイトは、ほぼ「ステートレス」と考えて良いと思います
  • 上手く定義された操作のセット。 例えばHTTPプロトコルでは、GET、POST、PATCH、PUT、DELETEなどのメソッドがあり、これを使って上手く通信ができます
  • リソースの一意的識別。 これはHTTPではURIで識別しています
  • 文書の情報に状態遷移を含めることができる。 言葉は難しいですが、要するに「リンクを貼ることができる」ということです

これから、RESTfulというのは私達がブラウザでウェブにアクセスしているスタイルのことを概念的にまとめたものだと分かると思います。 ウィキペディアに情報がありますので、参考にしてください。

RailsではRESTfulなアクセスは上記の7つのアクションにまとめることができるから

  • プログラマーは、このパターンを主に使うようにすると良い
  • Railsは「このパターンによるプログラミング」が楽になるような様々な工夫をしている

ということなのです。

上記の7つのアクションの構成は、前回作ったwordbookの構成に似ていますが、名前が違っていました。

Railsの慣例によるアクション名 前回wordbookのアクション名
new append
edit change
destroy exec_delete
delete
search

deleteとsearchが前のwordbookにありましたが、これはRailsの慣例アクション名にはありません。

今回はこの慣例に合うようにWordbookを作り直します。 ただ、次の点は慣例と異なります。

  • indexですべての単語のリストを表示することはしない(登録単語が多くなるとリストが長くなりすぎるため)。 そこでは使い方の説明を表示することにする
  • searchアクションを作り、正規表現での検索をサポートする

モデル

それでは、WordBookの新版を作りましょう。 ディレクトリ名を「word_book_rails_resources」とします。 ディレクトリ、コントローラ、モデルを作り、データベースのマイグレーションをします。

$ rails new word_book_rails_resources -c bootstrap
... ... ...
$ cd word_book_rails_resources
$ ./bin/rails generate controller Words index show new create edit update delete search
... ... ...
$ ./bin/rails generate model Word en:string jp:string note:text
... ... ...
$ ./bin/rails db:migrate
... ... ...

モデルのフィールドには「英単語」「日本語訳」に加えて「備考」(note)を作りました。 フィールドタイプのstringは短い文字列(通常一行)で、textは複数行に渡るような文字列です。 備考には例文や解説を書くことを想定しています。

モデルのバリデーションは英単語と日本語訳に設定します。 備考については空欄でも構わないとします。

class Word < ApplicationRecord
  validates :en, presence: true, format: {with: /[a-zA-Z]+/}, uniqueness: true
  validates :jp, presence: true
end

ルーティング

/config/routes.rbを編集します。

Rails.application.routes.draw do
  root "words#index"
  get "words/search"
  resources :words
end

rootとsearchは個別のルーティングを書いておきます。 Railsの7つのアクションは「resources」メソッドでルーティングを定義します。 これはRailsが用意した「便利な工夫」のひとつで、これだけで7つのルーティングが記述できます。 このとき、それぞれのルーティングがどうなっているかは、./bin/rails routesコマンドで確認できます。

$ ./bin/rails routes
      Prefix Verb   URI Pattern                  Controller#Action
        root GET    /                            words#index
words_search GET    /words/search(.:format)      words#search
       words GET    /words(.:format)             words#index
             POST   /words(.:format)             words#create
    new_word GET    /words/new(.:format)         words#new
   edit_word GET    /words/:id/edit(.:format)    words#edit
        word GET    /words/:id(.:format)         words#show
             PATCH  /words/:id(.:format)         words#update
             PUT    /words/:id(.:format)         words#update
             DELETE /words/:id(.:format)         words#destroy
... ... ...

左の列「Prefix」に、「_path」をつけるとパスを返すメソッドが得られます。

root_path #=> /
words_search_path #=> /words/search
words_path #=> /words

このような形で他アクションへのメソッドも得られます。 createアクションはアドレスがindexアクションと同じなのでwords_pathでPOSTメソッドを使えばアクセスできます。 同様にupdateアクションはword_pathをPATCHまたはPUTメソッドで、destroyアクションはword_pathをDELETEメソッドでアクセスすることによりアクセスできます。

7つのルーティングがresourcesメソッド1つで書けるところが、負担軽減になっています。 このようなルーティングを「リソースフル・ルーティング」と呼んでいます。

なお、「リソース」というのはウェブサーバで扱っているデータのことで、例えばWordインスタンスの表すデータはリソースです。

レイアウト、ナビゲーションバー、フラッシュ

レイアウト

レイアウト/app/views/layouts/application.html.erbは前回のWordbookと同様ですが、画面幅は少し広めにしました。

<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>WordBookRailsResources</title>
    <meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1">
    <%= csrf_meta_tags %>
    <%= csp_meta_tag %>

    <%= stylesheet_link_tag "application", "data-turbo-track": "reload" %>
    <%= javascript_include_tag "application", "data-turbo-track": "reload", defer: true %>
  </head>

  <body>
    <div class="container">
      <div class="col-lg-10 col-xl-8 mx-auto">
        <%= render "navbar" %>
        <%= render "flash" %>
        <%= yield %>
      </div>
    </div>
  </body>
</html>
ナビゲーションバー

ナビゲーションバー/app/views/words/_navbar.html.erbも前回とほぼ同様ですが次の2点が異なります。

  • 「変更」と「削除」はshowアクションからの画面でのみ有効にし、他のアクションからの画面では無効(disable)にする
  • 「検索」の窓もナビゲーションバーに付ける
<nav class="navbar navbar-expand-lg navbar-light" style="background-color: #e3f2fd;">
  <div class="container-fluid">
    <a class="navbar-brand" href="/">Wordbook</a>
    <button class="navbar-toggler" type="button" data-bs-toggle="collapse" data-bs-target="#navbarSupportedContent" aria-controls="navbarSupportedContent" aria-expanded="false" aria-label="Toggle navigation">
      <span class="navbar-toggler-icon"></span>
    </button>
    <div class="collapse navbar-collapse" id="navbarSupportedContent">
      <ul class="navbar-nav me-auto mb-2 mb-lg-0">
        <li class="nav-item">
          <%= link_to "追加", new_word_path, style: "text-decoration: none;", class: "nav-link" %>
        </li>
        <li class="nav-item">
          <% if action_name == "show" && @word %>
            <%= link_to "変更", edit_word_path(@word), style: "text-decoration: none;", class: "nav-link" %>
          <% else %>
            <a class="nav-link disabled" href="#">変更</a>
          <% end %>
        </li>
        <li class="nav-item">
          <% if action_name == "show" && @word %>
            <%= link_to "削除", @word, style: "text-decoration: none;", class: "nav-link", data: {turbo_method: :delete, turbo_confirm: "Are you sure?"} %>
          <% else %>
            <a class="nav-link disabled" href="#">削除</a>
          <% end %>
        </li>
      </ul>
      <%= form_with  url: words_search_path, method: :get, class: "d-flex" do |form| %>
        <%= form.search_field :search, placeholder: "検索", class: "form-control me-2" %>
        <%= form.submit "検索", class: "btn btn-outline-success text-nowrap" %>
      <% end %>
    </div>
  </div>
</nav>

13、20行目に<% if action_name == "show" %>があります。 action_nameRailsのメソッドで、そのときのアクション名を文字列で返します。 したがって、if節はアクションがshowのときだけ実行され、それ以外はelse節(リンクdisable)になります。

また、削除リンクはdata: {turbo_method: :delete, turbo_confirm: "Are you sure?"}により、HTTPメソッドがdeleteになり、「Are you sure?」の確認ダイアログが表示されます。 前回のwordbookではフォームの送信ボタンが削除のきっかけになっていましたが、今回はナビゲーションバーの「削除」メニューがきっかけになっています。 また、@wordだけでリンク先を表すことができ、そのパスはword_path(@word)と同じになります。

下から7〜4行目が検索部分で、form_withによるフォーム送信が埋め込まれています。 「検索」ボタンを押すとsearchアクションに飛ぶようにリンク先がwords_search_pathメソッドで与えられています。

フラッシュ

フラッシュは前回と同じです。

<% flash.each do |name, msg| %>
  <% if name == "success" %>
    <%= content_tag :div, msg, class: "text-success" %>
  <% elsif name == "alert" %>
    <%= content_tag :div, msg, class: "text-danger" %>
  <% end %>
<% end %>

indexアクション

indexアクションは初期画面です。 Wordbookの使い方を表示します。

コントローラでは特にやることはありません。

def index
end

ビューapp/views/words/index.html.erbは次のようになります。

<h1 class="text-center">単語帳</h1>
<h5 class="my-2">単語帳の使い方</h5>
<ul class="list-group my-2">
  <li class="list-group-item">Wordbook: 初期画面に戻ります</li>
  <li class="list-group-item">追加: 単語を追加します</li>
  <li class="list-group-item">検索: 単語を検索しマッチした単語を表示します</li>
</ul>
<p>
検索にRubyの正規表現を使うことができます。
各単語に対して「英単語」「日本語訳」「備考」を書き、保存することができます。
「備考」は複数行のテキストが可能なので、例文や解説などを書くのに適しています。
</p>
<p>
単語の表示、変更、削除は次のようにしてください。
なお「単語の表示」または「表示画面」とは、ひとつの単語についてその日本語訳と備考を表示すること、またはその画面です。
検索結果の画面では備考は表示されません。
</p>
<ul class="list-group my-2">
  <li class="list-group-item">表示: 検索後の一覧において、各項目の左にあるボタンをクリック</li>
  <li class="list-group-item">変更: 表示画面から変更メニューをクリック</li>
  <li class="list-group-item">削除: 表示画面から削除メニューをクリック</li>
</ul>

searchアクション

ナビゲーションバーの入力枠に正規表現を入れ、検索ボタンをクリックすることにより、/words/searchにgetメソッドでアクセスします。 これはsearchアクションにルーティングされます。

def search
  @search_word = params[:search]
  if @search_word == ""
    flash.now[:alert] = "検索ワードは入力必須です"
    render html: "", status: :unprocessable_entity
  end
  begin
    pattern = Regexp.compile(@search_word)
  rescue RegexpError
    flash.now[:alert] = "正規表現に構文エラーがあります"
    render :index, status: :unprocessable_entity
  else
    @words = Word.all.select{|word| word[:en] =~ pattern}.sort{|w1,w2| w1[:en] <=> w2[:en]}
  end
end

検索ワードはsearchという名前で送られるので、params[:search]で取り出すことができます。 searchアクションの内容は、前回のWordbookのlistアクションとほぼ同じです。

ビュー/app/views/words/search.html.erbは次のようになります。

<h1 class="my-2">単語検索結果</h1>
<p>検索ワード: <%= @search_word %></p>
<% if @words %>
  <table class="table table-bordered">
    <thead>
      <tr>
        <th scope="col">英語</th>
        <th scope="col">日本語</th>
      </tr>
    </thead>
    <tbody>
    <% @words.each do |word| %>
      <tr>
        <td><%= link_to word[:en], word %></td>
        <td><%= word[:jp] %></td>
      </tr>
    <% end %>
    </tbody>
  </table>
<% end %>

ここでは、英語と日本語訳のみを表にして表示します。 英単語はshowアクションへのリンクになっています。 wordがshowアクションへのリンクです。 このリンクには該当の単語のid(データベースの通し番号)が挿入されます。

showアクション

showアクションはid番号を用いてデータベースからWordモデルを取り出します。

def show
  begin
    @word = Word.find(params[:id])
  rescue ActiveRecord::RecordNotFound
    @word = nil
    flash.now[:alert] = "データベースにはid=#{params[:id]}のデータは登録されていません"
  end
end    

search画面のリンクからshowアクションに遷移した場合はエラーになることはありません。 クライアント側が適当なid番号で「words/id番号」をgetでアクセスした場合にはエラーの発生する可能性があります。 そのためrescueを使ったエラー処理を入れておきました。

ビュー/app/views/words/show.html.erbは次のようになります。

<% if @word %>
  <ul class="list-group my-2">
    <li class="list-group-item"><%= @word.en %></li>
    <li class="list-group-item"><%= @word.jp %></li>
    <li class="list-group-item"><%= @word.note %></li>
  </ul>
<% end %>

showでは英単語、日本語訳に加え備考(@word.note)も表示します。

newとcreateアクション

newアクション

ナビゲーションバーの「追加」をクリックすると/words/newにgetメソッドでアクセスします。 そして、newアクションにルーティングされます。

newコントローラはWordモデルを生成して@wordに代入します。

def new
  @word = Word.new
  @submit = "作成"
end

ビュー/app/views/words/new.html.erbは次のようになります。

<h1 class="my-2">単語登録</h1>
<%= render "form" %>
formパーシャル

画面の組み立てはformパーシャルが行います。

<%= form_with model: @word do |form| %>
  <div>
    <%= form.label :en, "英単語", class: "form-label" %>
    <%= form.text_field :en, value: @word.en, class: "form-control" %>
    <% @word.errors.full_messages_for(:en).each do |message| %>
      <div class="text-danger"><%= "DB: 英単語は空欄にできません" if message == "En can't be blank" %></div>
      <div class="text-danger"><%= "DB: 英文字を入力してください" if message == "En is invalid" %></div>
      <div class="text-danger"><%= "DB: すでに同名の単語が登録されています" if message == "En has already been taken" %></div>
    <% end %>
  </div>

  <div>
    <%= form.label :jp, "日本語訳", class: "form-label" %>
    <%= form.text_field :jp, value: @word.jp, class: "form-control" %>
    <% @word.errors.full_messages_for(:jp).each do |message| %>
      <div class="text-danger"><%= "DB: 日本語訳は空欄にできません" if message == "Jp can't be blank" %></div>
    <% end %>
  </div>

  <div>
    <%= form.label :note, "備考", class: "form-label" %>
    <%= form.text_area :note, value: @word.note, class: "form-control" %>
    <% @word.errors.full_messages_for(:jp).each do |message| %>
      <div class="text-danger"><%= message %></div>
    <% end %>
  </div>

  <div class="my-2">
    <%= form.submit @submit,  class: "btn btn-primary" %>
  </div>
<% end %>

ルーティングがリソースフルである場合は、form_withにモデルを設定すればurlは省略できます。 送信ボタンを押すとcreateアクションにアクセスします。 「備考」の入力枠はform.text_areaで作ります。 複数行のテキストを想定した入力フォームです。

createアクション

createアクションはコントローラのみでビューはありません。

def create
  @word = Word.new(word_params)
  if @word.save
    flash[:success] = "単語を保存しました"
    redirect_to @word, status: :see_other
  else
    flash.now[:alert] = "単語を保存できませんでした"
    render :new, status: :unprocessable_entity
  end
end

private

def word_params
  params.require(:word).permit(:en, :jp, :note)
end

プライベートメソッドword_paramsはクライアントからのデータを調べ、必要なものだけを取り出します。 この仕組みはparamsrequirepermitの3つのメソッドで構成されています。

  • params: ActionController::Parametersオブジェクトを返す。 このオブジェクトはクライアントから送られてきたデータを、キーと値の形式(ハッシュに似た形式)で保持している
  • require: パラメータにキーが与えられたとき、その値があればその値を持つActionController::Parametersオブジェクトを返す。 そうでなければエラーになる。
  • permit: パラメータにはキーのリストをとる。 与えられたキー以外のデータは捨てられ、指定されたキーと値のみのActionController::Parametersオブジェクトを返す

この仕組みはストロング・パラメータと呼ばれ、仮に不正なデータが送られたとしてもそれを除去することができます。 createメソッドでWord.new(word_params)としても安全です。 これを使わず`Word.new(params)とするとサーバ側で予期していないデータを保存しようとする可能性があり、エラーになったり、何らかの問題を引き起こす可能性があります。

Wordbookではストロングパラメータを使わなくてもほとんど危険はありませんが、ユーザ登録の仕組みを持つサーバでは脆弱性が発生することがあります。 例えば、ユーザモデルUserが3つのフィールドname、email、adminを持っていて、最後のadminは管理者権限を表し、true=adminnil|false=not adminだとします。 newアクションのビューではnameとemailのみをデータ送信するようになっているとします。 通常なら@user=User.new(params)でnameとemailのみ代入され、admin=nilとなるのですが、 悪意のあるユーザがPOSTデータを改ざんしname、emailに加えadmin=trueを送ってきたとすると、新規ユーザは管理者になってしまいます。 ストロングパラメータがパラメータをnameとemailに限定すれば、このような危険は無くなるというわけです。

createアクションでは、単語登録できればshowにリダイレクト、失敗したら再度newの画面を表示します。

editとupdateアクション

editアクション

editアクションはshowアクションから遷移される前提です。 showアクションの画面ではナビゲーションバーの「変更」リンクが有効になります。 /words/:id/editにアクセスがあるとeditアクションにルーティングされ、:idのところの数字がパラメータとしてparams[:id]にセットされます。

def edit
  begin
    @word = Word.find(params[:id])
  rescue ActiveRecord::RecordNotFound
    @word = nil
    flash[:alert] = "データベースにはid=#{params[:id]}のデータは登録されていません"
    redirect_to words_path, status: :see_other
  end
  @submit = "変更"
end

show画面から遷移すればWord.find(params[:id])がエラーになることはありませんが、ユーザがURLを作ってアクセスすると、そうとも限りません。 そこで、rescueを使ったエラーの捕捉をしています。

ビューは次のようになります。

<h1 class="my-2">単語の変更</h1>
<%= render "form" %>

newと共有しているformパーシャルを使います。 editの場合は送られてきたデータによってフォーム入力枠に値が入った状態から編集することができます。 編集が終わるとupdateアクションに遷移します。 newではcreateアクションへの遷移でした。 どこでcreateとupdateを区別しているかと言うと、@wordのidフィールドがnilか数字かの違いです。 この判断はform_withメソッドがしてくれるので、プログラマーが気にする必要はありません。

updateアクション

updateアクションはコントローラのみでビューはありません。

def update
  @word = Word.find(params[:id])
  if @word.update(word_params)
    redirect_to @word, status: :see_other
  else
    flash.now[:alert] = "単語「#{@word.en}」は変更できませんでした"
    render :edit, status: :unprocessable_entity
  end
end

アップデートができたらshowにリダイレクト、失敗したらedit画面を再表示します。 @wordだけで/words/:idにリダイレクトできます。 word_path(@word)より短い@wordだけでも同じリンク先を生成してくれるのは、リソースフル・ルーティングのさらなる恩恵です。

destroyアクション

show画面ではナビゲーションバーの「削除」リンクが使えるようになります。 それをクリックするとdestroyアクションに遷移します。 destroyアクションはコントローラだけでビューはありません。

def destroy
  @word = Word.find(params[:id])
  if @word == nil
    flash[:alert] = "単語#{@en}は未登録のため削除できません"
  else
    begin
      @word.destroy
    rescue
      flash[:alert] = "単語#{@en}を削除できませんでした"
    else
      flash[:success] = "単語を削除しました"
    end
    redirect_to words_path, status: :see_other
  end
end

削除ができてもできなくてもINDEX画面にリダイレクトします。 クライアント側はフラッシュ・メッセージによって削除できたかどうかを知ることができます。

起動

コマンドラインから起動します。

$ ./bin/rails server

ブラウザを起動しhttp://localhost:3000にアクセスするとWordbookの初期画面が現れます。

railsを終了するには、コマンドラインからCTRL-Cを入力します。

まとめ

前回のWordbookと比べ、大きな差はないものの、リソースフル・ルーティングを使ったおかげで楽をした部分がありました。 また、Railsの慣例に従っているので、メンテナが変わっても分かりやすいはずです。 そのような保守管理の意味でも慣例を守るのは重要なことです。

Wordbookはシンプルで分かりやすいと思います。 実際のウェブの開発はもっと複雑でデータベース・テーブルも複数になり、それらが関係しあっていることもあります。 そのようなテーブル間の関係をRailsはサポートしているのですが、今回はそこまでは踏み込みませんでした。 詳しいことは「Rails Guide」を参照してください。

また、ソースコードGitHub_example/word_book_rails_resourcesにありますので、 必要な方はダウンロードまたはクローンしてお使いください。

徒然Rubyのウェブサイト(GitHub pages)を作りました

「徒然なるままにRuby」のウェブサイトを作りました。

  • おもこんに連載した「徒然なるままにRuby(1)〜(30)」を収録しました
  • 収録にあたり、見直しをして、一部記載を修正しました
  • おもこんに残っている「徒然Ruby」も一部修正しましたが、依然として古い記述も残っています
  • レポジトリにはプログラムのソースコードも含まれています(_exampleディレクトリ)

今後はウェブサイトの方をご覧いただければと思います。

「徒然Ruby」シリーズはもう少し書こうと思っていますが、今後は「おもこん」と「ウェブサイト」の両方に同時投稿していきます。 今後もよろしくお願いいたします。

徒然Ruby(30)Rails7 検索と削除

今回はWordBookの検索と削除についてです。

検索

検索ではクライアントがサーバに正規表現を送り、マッチするデータをHTMLで送ってもらいます。 送信方法がGETでもPOSTでもプログラムできますが、今回はGETを使うことにします。

  • GETでデータを送る場合はアドレスに続く?以後にデータを付け足す。 このことから
    • URLの長さの仕様上(理論上)の制限は無いようだが、ブラウザの実装上はあるらしい。 そのためあまりに大きいデータ(目安として約8000、ただし古いブラウザでは約2000ということもあるらしい)を送るのには適していない
    • URLに置かれるために暗号化できず、セキュリティ上問題がある(URLが暗号化されると行き先が分からなくなってしまうので、暗号化できない)
    • URL上に置かれるので、ブックマーク時にデータも保存することができる。 例えばGoogle検索では検索語句はURLに挿入されるので、ブックマークしておけば同一語の検索が簡単にできる
  • GETはそもそもリソースを要求するメソッドであることから、検索結果を送ってもらうメソッドとしては適している
  • POSTではTurboがリダイレクトを期待するのに対して、GETではリダイレクトの必要がない。 これはRailsではアクションの節約になる

検索ワードを秘匿する必要はないので、上記を総合的に考えてGETメソッドを使うことにしました。 特にリダイレクト無しで済むのは大きいような気がします。

Search アクション

ナビゲーションバーのSearchをクリックするとリンク先からsearchアクションにルーティングされます。

get 'words/search'

コントローラのsearchアクションの部分は次のようになっています。

def search
  @search_word = ""
end

@search_wordは検索枠の初期値で、最初は空文字列にしておきます。

ビュー(/app/views/search.html.erb)は次のようになっています。

<h1 class="my-2">単語検索</h1>
<%= form_with url: words_list_path, method: :get do |form| %>
  <div>
    <%= form.label :en, "英単語", class: "form-label" %><br>
    <%= form.text_field :en, value: @search_word, class: "form-control" %>
  </div>
  <div class="my-2">
    <%= form.submit "検索",  class: "btn btn-primary" %>
  </div>
<% end %>
</div>
  • タイトルは「単語検索」。 もうおなじみのmy-2クラスは、m(マージン)y(上下)2(rem)で、上下に隙間を作るBootstrapのクラス
  • form_withメソッドにはモデルはつけない。 createやupdateと異なり、モデルの生成、改変を行わないからだ。 アクセス先はword_list_pathメソッドの返り値/words/listである。 method: :getによって、GETメソッドでのデータ送信となる
  • 「英単語」のラベルをつける
  • text_fieldメソッドによりtype="text"のinputタグを生成する。 初期値は@search_wordで与えられるが、searchメソッドからの流れでは空白になっている。 一度送信してエラーになった後の再入力では前回入力値が@search_wordに残っているので、それが初期値になる
  • サブミットボタンの文字は「検索」になる

検索画面は次のようになります。

検索画面

例えば「cool」を検索枠に入力してサブミット・ボタンを押すと、次のようなURLに送信されます。

http://localhost:3000/words/list?en=cool&commit=%E6%A4%9C%E7%B4%A2

最後の%のついた6バイトデータは「検索」がURL用に変換されたものです。 このように、GETメソッドでのデータ転送は、URLの?以後に「キー=データ」の形で行われます。

List アクション

GETで/words/list?... ... ...にアクセスすると、Wordコントローラのlistアクションにルーティングされます。

get 'words/list'

コントローラのlistアクションの部分は次のようになっています。

class WordsController < ApplicationController
... ... ...
... ... ...
  def list
    @search_word = params[:en]
    if @search_word == ""
      flash.now[:alert] = "検索ワードは入力必須です"
      render :search, status: :unprocessable_entity
    end
    begin
      pattern = Regexp.compile(@search_word)
    rescue RegexpError
      flash.now[:alert] = "正規表現に構文エラーがあります"
      render :search, status: :unprocessable_entity
    else
      @words = Word.all.select{|word| word[:en] =~ pattern}.sort{|w1,w2| w1[:en] <=> w2[:en]}
    end
  end
... ... ...
... ... ...
end
  • 検索パターンはparams[:en]で手に入れることができる。 form_withでフォームタグを作ったときにモデルの指定がなかったことから、params[モデル名][en]の[モデル名]が無くなったことによる。 検索パターンは@search_wordに代入する
  • 検索パターンが空文字列だったときは、入力画面を再表示する。 フラッシュ「検索ワードは入力必須です」を表示する。 なお、検索パターンはRuby正規表現に直されるのだが、仮に空文字列を正規表現にすると//になり、任意の文字列にマッチする。 これを許す考え方もあると思う。 その場合はこのif文は必要ない
  • 検索パターン文字列を指す@search_wodから正規表現オブジェクトpatternを作る。 Regexp.compileメソッドを用いる。
  • コンパイルができない場合は例外が発生する(例えば検索ワードが「*」の場合。繰り返しを表す*の前に文字が必要)。 例外をrescueで捕捉し、「正規表現に構文エラーがあります」をフラッシュにセットし、searchビューで入力画面を再描画する。 HTTPステータスはunprocessable_entity
  • 例外が発生せず無事にコンパイルできた場合は、else節を実行する。 Word.allは、Wordクラスのオブジェクトをデータベースからすべて取り出し、それをActiveRecord::Relationクラスのオブジェクトにして返す。 このクラスはEnumerableモジュールをインクルードしているので、selectなどのメソッドを使うことができる。 selectメソッドは、そのブロック(正規表現patternと一致する)が真となるWordオブジェクトの配列を返す。 最後にその配列にsortメソッドを用いる。 sortメソッドはブロックによる大小評価(<=>メソッドと同じ評価基準)によりソートを行う。 英単語の辞書順にデータがソートされる。 このあと、listビューに@wordsが引き継がれ、マッチした単語の一覧をHTMLにして送信する。 なお、リクエストがGETメソッドだったのでリダイレクトは不要

一度全部データを取り出してから正規表現でマッチするWordオブジェクトの配列を作っています。 データベースから全部取り出さず、正規表現でマッチするものだけを取り出すことはできないのでしょうか? これは可能ですが、いくつか解決しなければならない問題があります。

  • Rails自身はデータ取り出し時の正規表現はサポートしていない(注:LIKE句は使える)
  • SQlite3がデフォルトでは正規表現をサポートしていない。 RailsからSQlite3に発行するSQL正規表現は使えない。 (注:コマンドラインから起動する「sqlite3」というコマンドは正規表現をサポートしている)
  • 正規表現によるデータ取得に関するSQLの構文が統一されていない。 データベースごとにRailsの発行するSQLを変えなければならない
  • 仮にクライアントから送られてきたデータをSQLに単純に埋め込むとしたら、それは非常に危険(SQLインジェクション)。 それを避けるには、データの内容をチェックする必要があり、そのためのプログラムを書かなければならない。 今回はローカルでの使用を考えているので危険性は少ないが、これをネット上で一般公開する場合は特に考慮が必要

この問題はデータベースの大きさとアクセスの頻度によります。 それらがさほど大きくなければ、データを全部読み出す負担は小さく押さえられます。 逆に膨大なデータでは負担が増し、正規表現SQLを発行するメリットが大きくなります。

単語帳のデータ数は通常さほど大きくないので「データ全読み出し」のデメリットはあまり現れないと思われます。 データ数が極めて大きくなるような場合には変更を検討することが望ましいかもしれません。

削除

削除の流れは次のようになります。

  • ナビゲーションバーのDeleteをクリック
  • Wordコントローラのdeleteアクションが実行される=>削除画面表示、その中に削除単語を入力する枠がある
  • 削除単語を入力してサブミットボタンをクリック
  • Wordコントローラのexec_deleteアクションが実行される=>削除実行、次の画面にリダイレクト
Delete アクション

ナビゲーションバーのDeleteをクリックすると/words/deleteにGETメソッドでアクセスします。 これはWordコントローラのdeleteアクションにルーティングされます。

get 'words/delete'

deleteアクションは次の通りです。

def delete
  @delete_word = ""
end

@delete_wordはビューの中で入力枠の初期値として使われます。 最初は空文字列です。

ビュー(/app/views/delete.html.erb)は次のようになります。

<h1 class="my-2">単語削除</h1>
<%= form_with url: words_exec_delete_path, method: :delete do |form| %>
  <div>
    <%= form.label :en, "英単語", class: "form-label" %><br>
    <%= form.text_field :en, value: @delete_word, class: "form-control" %>
  </div>
  <div class="my-2">
    <%= form.submit "削除",  class: "btn btn-primary", data: {turbo_confirm: "Are you sure?"} %>
  </div>
<% end %>

今までのフォーム作成と大きく違うのは次の2点です。

  • リクエストのメソッドがDELETEになっている。
  • サブミットボタンにdata: {turbo_confirm: "Are you sure?"}がついている。 これはボタンをクリックしたときに確認ダイアログを表示するためのものです。 Rails7ではTurboが使われているのでturbo_confirmにしなければなりません。 (以前はconfirmでした)

送信先のアドレスはwords_exec_delete_pathメソッドの返り値である/words/exec_deleteになります。

Exec_delete アクション

DELETEメソッドで/words/exec_deleteに送られたリクエストはWordsクラスのexec_deleteアクションにルーティングされます。

delete 'words/exec_delete'

exec_deleteアクションは次の通りです。

def exec_delete
  @delete_word = params[:en]
  @word = Word.find_by(en: @delete_word)
  if @word == nil
    flash.now[:alert] = "単語#{@en}は未登録のため削除できません"
    render :delete, status: :unprocessable_entity
  else
    begin
      @word.destroy
    rescue
      flash[:alert] = "単語#{@en}を削除できませんでした"
    else
      flash[:success] = "単語を削除しました"
    end
    redirect_to words_index_path, status: :see_other
  end
end
  • クライアントから送られたデータを@delete_wordに代入する
  • データベースから@delete_wordに一致するデータを取り出す
  • データが見つからなければ@wordはnilになる。 このとき「単語・・・は未登録のため削除できません」をフラッシュに入れてdeleteビューを再送信する。 このとき、@delete_wordすなわちクライアントが削除を要求した単語名が入力フォームの初期値になる。 ステータスはunprocessable_entityとする
  • データが見つかったときは@word.destroyメソッドでデータベースから削除する。
  • エラーが発生したときは「単語・・・を削除できませんでした」をフラッシュにセットし、Wordsコントローラのindexアクションにリダイレクト
  • エラー無く削除できた場合は「単語を削除しました」をフラッシュにセットし、Wordsコントローラのindexアクションにリダイレクト

リダイレクトのときのHTTPステータスコードは303(see other)です。 status: :see_otherを省略すると、デフォルトの302(Found)になります。 この2つのステータスコードに対するブラウザの動作は

  • 302(Found) 同じHTTPメソッドで新しいURLにアクセスする。 つまり「はじめのアドレスが(一時的に)移転しているのでそちらにリダイレクトせよ」というのが302の趣旨であるので、同じHTTPメソッドでアクセスする。 (ただし、歴史的理由でGETメソッドでリダイレクト先にアクセスするブラウザもある)
  • 303(see other)GETメソッドで新しいURLにアクセスする。 これは「主にPOSTでデータを送信した後に受信するリソースをリダイレクト先に用意してあるのでそちらを見よ」という趣旨なので(リソース回収用の)GETでリダイレクト先にアクセスする

そのため、302リダイレクトを使うとDELETEメソッドでリダイレクト先にアクセスされ、最悪の場合には何らかのリソースが削除される可能性があるそうです。 ネットではそのような悲しいできごとに遭遇した人からの注意喚起が見られます。 気をつけましょう。

まとめ

以上でとりあえず動くWordbookができあがりました。

Railsは動的なウェブを作ることが特徴です。 「動的」とは、リクエストを受け取ったサーバーがリクエストに応じたHTML文書をその場で作成して送ることです。 それに対して「静的」とは、あらかじめHTML文書をサーバー内の用意し、リクエストのアドレスに対応する文書を送ることです。 「静的」なウェブに対してPOSTでデータを送ることは意味がありません。

Railsのポイントのひとつは、POSTなどで送られるデータの処理になります。 前回と今回の記事でその処理の流れがお分かりいただけたのではないでしょうか。 例えば、appendでは

  • appendアクション:入力画面を送信する
  • createアクション:送られてきたデータの処理。 正常=>303リダイレクト。 エラー:unprocessable_entityステータスで入力画面を再送信

という流れです。

GETでデータを送る場合は、処理が正常だった場合のリダイレクトがありません。 そこだけが違いです。

徒然Ruby(29)Rails7 モデルとデータベース

今回はRailsにおけるデータの作成と保存、そして変更について説明します。 そのベースになるモデルとデータベースの話から始め、appendとchangeの動作について詳しく説明します。

MVC

MVCはモデル、ビュー、コントローラを指すことばで、Railsの構成を指しています。

  • M(Model): モデルは保存対象のデータをオブジェクトにしたもの。 データベースに保存する
  • V(View): クライアントに送るHTML文書を作成する
  • C(Controller): モデルやビューの働きを調整しコントロールする

ビューについては前回の記事で扱ったので、イメージはつかめると思います。 今回はモデルを定義し、さらに全体を調整するコントローラも作成します。

モデルとデータベース

WordBookでは保存するデータは「英単語と日本語訳」のペアです。 ブラウザ画面から単語をRails側に送信すると、そのモデルが作成されデータベースに登録されます。 モデルはデータベースのレコードに1対1に対応するものです。 モデルはデータベースの1レコードに対応するものなので、単数形でクラス定義をします。 「class Word」というわけです。 コントローラが複数形「class Words」だったのと比べてみてください。

Railsのgenerateコマンドでモデルを作成できます。 引数にデータベースのフィールドを付けておきます。 今回は

  • 英単語=>フィールド名en、タイプは文字列(string)
  • 日本語訳=>フィールド名jp、タイプは文字列(string)

とします。

$ bundle exec rails generate model Word en:string jp:string 
      invoke  active_record
      create    db/migrate/20221020235423_create_words.rb
      create    app/models/word.rb
      invoke    test_unit
      create      test/models/word_test.rb
      create      test/fixtures/words.yml

表示されたパスのうち、最初の2つがモデルを扱う上で重要なファイルです。 1つ目のファイルは後ほどdb:migrateのところで説明します。 2つ目のファイルのapp/models/word.rbはモデルの設定をするファイルです。 このファイルにはWordクラスの定義が書かれており、その中身は空になっています。 ですが、このクラスはApplicationRecordクラスのサブクラスとして定義されていますので、スーパークラスの様々なメソッドを使うことができます。

ファイルに以下のようにvalidatesメソッドを追加します。

class Word < ApplicationRecord
  validates :en, presence: true, format: {with: /[a-zA-Z]+/}, uniqueness: true
  validates :jp, presence: true
end

validatesはデータをチェックするメソッドです。 データベースに書き込む直前にこのチェックが働き、チェックを通らない場合は書き込みをしません。 また、エラーの内容がモデルに書き込まれます。

  • enはデータが存在しなければデータベースに保存できない(空欄にはできない)
  • enは英文字の文字列でなければならない(formatのwithには正規表現を使える)
  • enはユニークである(すでに同名のデータが存在するならば、データベースに保存できない)。 英語には同じスペルで異なる単語が存在するのだが、この単語帳ではそれらを別のレコードして登録できない。 そのため1つのレコードに日本語訳を2つ書くことで問題を解決する。 これは誤って同一の単語を二重に登録するのを防ぐための措置
  • jpはデータが存在しなければデータベースに保存できない(空欄にはできない)

db/migrate/20221020235423_create_words.rbは「データベースにアクセスするための設定」をするファイルです。 なお、RailsはデフォルトでSQlite3をデータベースに使います。

class CreateWords < ActiveRecord::Migration[7.0]
  def change
    create_table :words do |t|
      t.string :en
      t.string :jp

      t.timestamps
    end
  end
end

CreateWordsクラスがActiveRecord::Migration[7.0]のサブクラスとして定義されています。 その中でchangeメソッドが定義されています。 create_tableメソッドはwordsという名前のデータベース・テーブルを作るものです。 そのテーブルには、文字列フィールドの「en」と「jp」、そしてタイムスタンプ(作成日時と更新日時)のフィールドが作られます。 このメソッドのブロックには現れませんが、idフィールドも自動的に作られ、1、2、3・・・という整数がレコードに割り振られます。

このファイルを用いてデータベース・テーブルを作ります。 db:migrateコマンドをrailsで実行します。

$ bundle exec rails db:migrate
== 20221020235423 CreateWords: migrating ======================================
-- create_table(:words)
   -> 0.0019s
== 20221020235423 CreateWords: migrated (0.0020s) =============================

コマンド名が「migrate」となっていますが、これは英語で「移住」という意味を表します。 データベースでマイグレート(動詞)、あるいはマイグレーション(名詞)というのは、データを「異なるフィールド構成のデータベース」に移すことをいいます。 同じデータベースで、データを保ったまま「フィールド構成を変更する」ときもマイグレーションといいます。 今回はデータベースをはじめて作成したので、既存のデータはなく、上記の意味でのマイグレーションではありません。

rails db:migrate」の名前から想像できると思いますが、このコマンドはデータベースのマイグレーションにも使えます。 その場合は「create_table」だけでなく「change_table」などのメソッドも使います。

コンソール

ここで、モデルに備わっているいくつかのメソッドを紹介します。 先程定義を書いたWordクラスを例にとります。

  • @word = Word.new => Wordクラスのオブジェクト(モデル)を生成し、インスタンス変数@wordに代入する
  • @word.en= => @wordの指すオブジェクトのインスタンス変数@enに値を代入する
  • @word.en => @wordのインスタンス変数@enの指すオブジェクトの値を取得する
  • @word = Word.find_by(en: "good") => データベースから、enフィールドの値が"good"であるデータを取り出し、@wordに代入する
  • @word.save => @wordの指すオブジェクトをデータベースに保存する
  • @word.delete => @wordの指すオブジェクトをデータベースから削除する

これらのメソッドを試すのにはRailsのコンソールを使うのが良いです。 少々回り道になりますが、コンソールを使ってみましょう。 上記のメソッドを試すと、その式の値が表示されるので何をしているのかがよく分かります。 次の例を丁寧にたどってみてください。

$ bundle exec rails console
Loading development environment (Rails 7.0.4)
irb(main):001:0> @word = Word.new
=> #<Word:0x00007f7759446f88 id: nil, en: nil, jp: nil, created_at: nil, updated_at: nil>
irb(main):002:0> @word.en="good"
=> "good"
irb(main):003:0> @word.jp="良い"
=> "良い"
irb(main):004:0> @word
=> #<Word:0x00007f7759446f88 id: nil, en: "good", jp: "良い", created_at: nil, updated_at: nil>
irb(main):005:0> @word.save
  TRANSACTION (0.7ms)  begin transaction
  Word Create (0.8ms)  INSERT INTO "words" ("en", "jp", "created_at", "updated_at") VALUES (?, ?, ?, ?)  [["en", "good"], ["jp", "良い"], ["created_at", "2022-10-21 04:38:51.334385"], ["updated_at", "2022-10-21 04:38:51.334385"]]
  TRANSACTION (14.4ms)  commit transaction
=> true
irb(main):006:0> @word2=Word.new
=> #<Word:0x00007f7758452578 id: nil, en: nil, jp: nil, created_at: nil, updated_at: nil>
irb(main):007:0> @word2=Word.find_by en: "good"
  Word Load (0.4ms)  SELECT "words".* FROM "words" WHERE "words"."en" = ? LIMIT ?  [["en", "good"], ["LIMIT", 1]]
=> #<Word:0x00007f7759505e10 id: 1, en: "good", jp: "良い", created_at: Fri, 21 Oct 2022 04:38:51.334385000 UTC +00:00, updated_at: Fri, 21 Oct 2022 04:38:51.334385000 UTC +00:00>
irb(main):008:0> @word.en == @word2.en
=> true
irb(main):011:0> @word.jp == @word2.jp
=> true
irb(main):012:0> @word.delete
  Word Destroy (43.0ms)  DELETE FROM "words" WHERE "words"."id" = ?  [["id", 1]]
=> #<Word:0x00007f7759446f88 id: 1, en: "good", jp: "良い", created_at: Fri, 21 Oct 2022 04:38:51.334385000 UTC +00:00, updated_at: Fri, 21 Oct 2022 04:38:51.334385000 UTC +00:00>
irb(main):013:0> @word = Word.find_by en: "good"
  Word Load (0.2ms)  SELECT "words".* FROM "words" WHERE "words"."en" = ? LIMIT ?  [["en", "good"], ["LIMIT", 1]]
=> nil
irb(main):014:0> exit
$

データベースとのやりとり(save、find_by、delete)ではSQLコマンドがデータベースに対して発行されているのがわかります。 RailsSQLを発行してくれるので、プログラマーSQLを知らなくてもデータベースを使うことができます。 これはRailsを使うアドバンテージのひとつです。

Railsのコンソールはプロンプトがirb(main)となっています。 irbRubyのgemで単独で使うこともできます。 単にコマンドラインから「irb」と打ち込めばOKです。 Rubyのドキュメントを参照してください。

単語の新規作成

ナビゲーションバーのAppendをクリックしてから単語登録を完了するまでの一連の流れを確認します。 以下では(C)がクライアント(ブラウザ)側、(S)がサーバ(Rails)側とします。

  • (C)ナビゲーションバーのAppendをクリック=>/words/appendへGETメソッドでアクセス
  • (S)Wordsコントローラのappendアクション(Wordsクラスのappendメソッド)へルーティング
  • (S)ビューで英単語と日本語訳のデータ入力枠、送信ボタンのあるHTMLを組み立て、送信
  • (C)単語と日本語訳を入力して送信ボタンをクリック=>/words/createへPOSTメソッドでアクセス
  • (S)Wordsコントローラのcreateアクションへルーティング
  • (S)送られた単語と日本語訳をWordモデル(Wordクラスのインスタンス)にセットしデータベースに保存
  • (S)保存成功の場合=>成功のメッセージと保存した英単語を表示するために/words/show/:idへリダイレクトする。ただし:idは登録したモデルのid
  • (S)保存失敗の場合=>失敗のメッセージと入力枠を再表示(レスポンスのステータスコードを「unprocessable_entity」にする)

(注)「unprocessable_entity」は「クライアントのリクエストが正しかったが、その指示が処理できなかった」ことを表します。 サーバはクライアントのリクエストに対してレスポンスを返すときにステータスコードを常に送りますが、 railsが自動的にコードを作ってくれることが多く、プログラムに明示する必要がありませんでした。 Rails7ではTurboという仕組みが使われていて、Turboではformタグでクライアントがデータを送った後のサーバーの対応が決められています。 詳しいことは「Turbo Handbook」を参照してください。 成功=>リダイレクト、失敗=>「unprocessable_entity」ステータスコードで入力画面を再送信、という流れでほぼ良さそうです。

上記の流れではサーバとクライアントの間を2から3往復します。 一度の操作では完了しないことに注意してください。

なお、ナビゲーションバーのchangeをクリックしたときの流れもこれに似ています。 そこで、今回の記事ではappendとchangeの両方を説明します。

appendとchange共用のパーシャル

append(単語の追加)とchange(単語の変更)は処理が似ています。 両者ともformタグを使ってデータをサーバに送信します。 そこで、フォーム部分を共通に使えるパーシャルにしておきます。 パーシャルはプログラムのサブルーチンのようなもので、他のビューから呼び出し、埋め込むことができます。 パーシャルはファイル名の先頭をアンダースコアにします。 以下に_form.html.erbのリストを示します。

<%= form_with model: @word, url: @path, method: :post do |form| %>
  <div>
    <%= form.label :en, "英単語", class: "form-label" %>
    <%= form.text_field :en, value: @en, class: "form-control" %>
    <% @word && @word.errors.full_messages_for(:en).each do |message| %>
      <div class="text-danger"><%= "DB: 英単語は空欄にできません" if message == "En can't be blank" %></div>
      <div class="text-danger"><%= "DB: 英文字を入力してください" if message == "En is invalid" %></div>
      <div class="text-danger"><%= "DB: すでに同名の単語が登録されています" if message == "En has already been taken" %></div>
    <% end %>
  </div>

  <div>
    <%= form.label :jp, "日本語訳", class: "form-label" %>
    <%= form.text_field :jp, value: @jp, class: "form-control" %>
    <% @word && @word.errors.full_messages_for(:jp).each do |message| %>
      <div class="text-danger"><%= "DB: 日本語訳は空欄にできません" if message == "Jp can't be blank" %></div>
    <% end %>
  </div>

  <div class="my-2">
    <%= form.submit @submit,  class: "btn btn-primary" %>
  </div>
<% end %>
  • form_withがformタグを生成するためのRailsのメソッド。
    • モデルを@wordとする。@wordはあらかじめコントローラで生成しておく
    • 送信先のURLを@pathで与える。@pathはコントローラで生成する
    • 送信メソッドはPOSTにする。 append(作成)ではPOST、change(変更)ではPATCHやPUTを用いるのがRailsの標準だが、ここでは両者ともPOSTを使うことにする
    • ブロックパラメータformにはFormBuilderオブジェクトが代入されており、そのオブジェクトにはlabeltext_fieldメソッドがある。 詳しくはAPIレファランスを参照
  • form.labelメソッドで、inputタグ上部にラベル(文字列)を表示する。 class: "form-label"はBootstrapのクラスclass="form-label"をタグの属性に指定する。
  • form.text_fieldで、type="text"のinputタグが作成される。 タグの名前を"en"に初期状態での枠内の文字列を@enにする。 @enはコントローラで定義する。 class: "form-control"はBootstrapのクラス
  • 次の5行は、@wordがnilでなく、@word.errors.full_messages_for(:en)が空でない場合にメッセージを表示する。 この「空でない」場合とは、@wordをデータベースに保存しようとしてエラーになった場合である。 もちろん、最初のフォーム送信ではエラーはないが、送信後データ保存時にエラーが発生し、フォームが再送信される場合にメッセージが表示される。 したがって、ここのエラーメッセージはモデルのデータベース登録時のバリデーション・メッセージである。
  • jp(日本語訳)の入力フォームも同様
  • form.submitで送信ボタンを表示する。 ボタンに現れる文字列は@submitになるが、これはコントローラで設定する。 class: "btn btn-primary"はBootstrapのボタンデザインのクラス
appendアクション

データ(英語・日本語訳)の新規作成はAppendメニューのクリックによって始まります。 このメニューのリンクは/words/appendに飛びます。 スラッシュから始まるリンクは、完全な形で書くとhttp:.//localhost:3000/words/appendになります。

このリンク先は/config/routes.rbによって、Wordsコントローラのappendアクション(appendメソッド)にルーティングされます。

Rails.application.routes.draw do
  get 'words/index'
  get 'words/show/:id', to: "words#show"
  get 'words/append'
  post 'words/create'
  get 'words/change'
  post 'words/update'
  get 'words/delete'
  delete 'words/exec_delete'
  get 'words/search'
  get 'words/list'
  root "words#index"
end

ブロックの上から3番め、get 'words/append'がそのルーティングです。 HTTPのGETメソッドで/words/appendをアクセスすると、このルーティングにマッチします。 行き先が省略されているときは、そのアドレス通りWordsコントローラのappendアクションに移動します。

Wordsコントローラ(Wordsクラスの定義)の中でappendアクションだけを取り出すと次のようになります。

class WordsController < ApplicationController
... ... ...
... ... ...
  def append
    @en = @jp = ""
    set_append
  end
... ... ...
... ... ...
  private

  def set_append
    @word = Word.new unless @word
    @path = words_create_path
    @submit = "作成"
  end
... ... ...
... ... ...
end

formパーシャルに必要なインスタンス変数はここで設定されます。

  • @wordにはWordモデルから新規作成されたオブジェクトが代入される
  • @pathにはwords_create_pathメソッドの返り値が入る。 このメソッドはroutes.rbからRailsが自動生成するもので、このルーティングでは'/words/create'が代入される。 なお、このようなメソッドを確認するにはbundle exec rails routesコマンドラインから入力する。 これによってルーティングの一覧が表示され、その一番左の列にメソッドが書かれている。 メソッドのないルーティングのルールもある。
  • @enと@jpには空文字列が代入される
  • @submitには"作成"が代入される

コントローラの処理の中で特に出力コマンドがない場合は対応するビューが呼ばれます。 /app/views/append.html.erbの内容は次のようになります。

<h1 class="my-2">単語登録</h1>
<%= render "form" %>
  • タイトルとして「単語登録」を表示。 `class="my-2"はBootstrapのクラスでm(マージン)y(上下)を2(デフォルトで2rem)に設定する。 少し上下に隙間ができる
  • renderメソッドにより、formパーシャルを呼び出してここに埋め込む。 パーシャルのファイル名にはアンダースコアがつくが(/app/views/_form.html.erb)renderの引数ではアンダースコア、拡張子なしで呼び出す

パーシャルのおかげで、非常に短くてすみました。

Append画面

このような画面が表示されます。 サブミットボタンには@submitの内容である「作成」が表示されています。 このボタンを押すと、formタグで定義されたようにPOSTメソッドで/words/createに送信します。

createアクション

ルーティングにより、createアクションが呼ばれます。

... ... ...
post 'words/create'
... ... ...

コントローラのcreateアクションの部分を示します。

class WordsController < ApplicationController
... ... ...
... ... ...
  def create
    @en = params[:word][:en]
    @jp = params[:word][:jp]
    @word = Word.new(en: @en, jp: @jp)
    if @word.save
      flash[:success] = "単語を保存しました"
      redirect_to "/words/show/#{@word.id}", status: :see_other
    else
      set_append
      flash.now[:alert] = "単語を保存できませんでした"
      render :append, status: :unprocessable_entity
    end
  end
... ... ...
... ... ...
end

送信されたデータをparamsメソッドで取り出すことができます。 そのときデータにつけられた名前(例えば「:wordの:en」)はappendビューで作成したフォームタグに書かれたものです。 form_withでモデルを指定した場合は、モデル名が名前の1番めになります。 form.text_fieldの最初の引数が名前の2番めになります。 モデルを指定しない場合は、params[:en]のようにモデル名なしになります。

  • 英単語はparams[:word][:en]で取り出せる。
  • 日本語訳はparams[:word][:jp]で取り出せる。
  • @wordを新規作成する。 そのときenフィールドを@en、jpフィールドを@jpにする。 つまり送信された英単語と日本語訳にする
  • saveメソッドにより@wordをデータベースに登録する。 このとき、モデル定義(/app/models/word.rbファイル)に書いたバリデーションが行われる。 すでに書いたように、バリデーションとはデータのチェックのこと。 改めてどのようなバリデーションだったかを書くと
    • enはデータが存在しなければデータベースに保存できない
    • enは英文字の文字列でなければならない
    • enはユニークである(すでに同名のデータが存在するならば、データベースに保存できない)
    • jpはデータが存在しなければデータベースに保存できない
  • バリデーションががOKならば保存が実行され@word.saveは真になる。 バリデーションを通らなければ保存されず、@wordにエラーメッセージがセットされ、@word.saveは偽になる。
  • 無事保存された場合は、フラッシュに「単語を保存しました」を代入し、showアクションにリダイレクトする。 リダイレクトとは、HTTPステータスコードの300番台とリダイレクト先アドレスをクライアントに送り、クライアントからそのアドレスにアクセスしてもらうことをいう。 なお、Turbo Handbookを見るとTurboではフォームのPOST送信後は303(see other)ステータスコードを期待しているとのことである。 それに沿ってプログラムでは、redirectメソッドの最後にstatus: :see_otherを付け加えた。 仮にステータスコードの指定を省略すると302(Found)がステータスコードになる。 それも試したところ、正しくリダイレクトされたので、現状は302でも良いのかもしれない。 ともあれ、RailsがTurboを使っている以上リダイレクトしなければならない
  • 保存に失敗した場合は、ステータスコードunprocessable_entity(データは受け取ったがサーバ側は想定された作業を遂行できなかった)を返し、リダイレクトせずにデータを送信する。 set_appendメソッドにより、@path送信先アドレス、@submitをセットする。 @wordはnilではないのでそのままになる。 このとき保存に失敗したバリデーションのエラー情報が@wordには含まれている。 renderメソッドでappendビューをクライアントに送る。 appendビューはformパーシャルを呼び出す。 このときformパーシャルの中で@wordのエラーメッセージが取り出され、それに対応した日本語メッセージがHTMLに加えられる。 このあとはクライアントからのPOST送信が繰り返されることになる
フラッシュ

フラッシュはリダイレクト後の画面でメッセージを表示するための仕組みです。 フラッシュはHashに似てキーと値を定義できます。

  • flash[キー]=メッセージ」でキーとメッセージを登録できる
  • flash[キー]」でメッセージを取り出せる

createアクションでデータが無事に保存された場合はflash[:success] = "単語を保存しました"でフラッシュに登録します。 これは次のshowアクションで取り出されて表示されることになります。

フラッシュはどのアクションでも使う可能性があるので、レイアウトの部分に入れておくのが良いです。 そこでレイアウト/app/views/application.html.erbを書き直します。

<!DOCTYPE html>
<html>
... ... ...
... ... ...
  <body>
    <div class="container">
      <div class="col-sm-10 col-lg-8 col-xl-6 mx-auto">
        <%= render "navbar" %>
        <%= render "flash" %>
        <%= yield %>
      </div>
    </div>
  </body>
</html>

コンテナで画面サイズの調整がされているのですが、大きな画面ではまだ幅がありすぎるので<div class="col-sm-10 col-lg-8 col-xl-6 mx-auto">で調整します。 これはすべての画面で適用されます。 その後にナビゲーションバーを表示するパーシャルnavbarを呼び出し、次にフラッシュを表示するパーシャルflashを呼び出します。 navbarはすでにコードを示しましたので、ここではflashのみを示します。

<% flash.each do |name, msg| %>
  <% if name == "success" %>
    <%= content_tag :div, msg, class: "text-success" %>
  <% elsif name == "alert" %>
    <%= content_tag :div, msg, class: "text-danger" %>
  <% end %>
<% end %>

これを/app/views/_flash.html.erbというファイル名で保存します。 フラッシュはHashと同じようにeachコマンドを使うことができます。

  • successキーの場合は、text-successクラス(緑色)でメッセージを表示
  • alertキーの場合はtext-danger(赤色)でメッセージを表示

content_tagメソッドは、ここではdivタグの中にメッセージを入れたHTMLを埋め込みます。

フラッシュはリダイレクトで用いるものですから、次回の送信で反映されます。

  • リダイレクト(303ステータスコード+リダイレクト先のアドレス)をクライアントに送信する(送信1回め)
  • クライアントはそれに基づいてリダイレクト先にGETメソッドでアクセスする
  • サーバがデータを送信する(送信2回め)=>このときフラッシュが有効になる

しかし、リダイレクト無しでフラッシュを使いたいときもあります。 そのときはflash.nowを用います。 flash.nowでは1回めの送信でフラッシュが有効になります。 createアクションの中の次のコードを比べてみてください

if @word.save
  flash[:success] = "単語を保存しました"
  redirect_to "/words/show/#{@word.id}", status: :see_other #<=リダイレクトがあるのでflashを使う
else
  set_append
  flash.now[:alert] = "単語を保存できませんでした"
  render :append, status: :unprocessable_entity #<=リダイレクト無しなのでflash.nowを使う
end

単語の変更

単語の変更はchange、updateアクションで行います。 この2つはappend、createに似ています。

change アクション

appendとの違いは@pathと@submitだけです。

class WordsController < ApplicationController
... ... ...
... ... ...
  def change
    @en = @jp = ""
    set_change
  end
... ... ...
... ... ...
  def set_change
    @word = Word.new unless @word
    @path = words_update_path
    @submit = "変更"
  end
end
  • @pathによるPOSTメソッドの送信先のアドレスにはwotds_update_pathメソッドを使う。 このメソッドは'/words/update'を返す
  • @submitは「変更」にする。 これがボタンの文字になる

対応するビューもほとんど同じです。 /app/views/change.html.erbの内容は次のとおりです。

<h1 class="my-2">単語の変更</h1>
<%= render "form" %>

appendのビューとの違いはタイトルだけです。 画面のスクリーンショットはほぼ同じなので省略します。 ボタンが押されると、POSTメソッドで先程の送信先にデータが送られます。

なお、Railsでは変更、編集、アップデートではPATCHまたはPUTメソッドが使われます。 そのようにプログラムを変更することはもちろん可能で、@pathで送信先をappendとchangeで区別したのと同様に@method変数に"post"、"patch"を入れて区別すればOKです。 その方がベターかもしれません。

update アクション

POSTメソッドで送信されたデータはroutes.rbによってWordsコントローラのupdateアクションにルーティングされます。

post 'words/update'

コントローラからupdateアクションの部分を取り出してみましょう。

class WordsController < ApplicationController
... ... ...
... ... ...
  def update
    @en = params[:word][:en]
    @jp = params[:word][:jp]
    @word = Word.find_by(en: @en)
    if @word == nil
      set_change
      flash.now[:alert] = "単語「#{@en}」は未登録のため変更できません"
      render :change, status: :unprocessable_entity
    elsif @word.update jp: @jp
      flash[:success] = "単語を変更しました"
      redirect_to "/words/show/#{@word.id}", status: :see_other
    else
      set_change
      flash.now[:alert] = "変更した単語を保存できませんでした"
      render :change, status: :unprocessable_entity
    end
  end
... ... ...
... ... ...
  def set_change
    @word = Word.new unless @word
    @path = words_update_path
    @submit = "変更"
  end
end
  • @enと@jpに送られてきた英単語と日本語訳を代入する
  • その英単語をもつWordオブジェクトをデータベースから探し出し@wordに代入する。 そのようなデータがなければ@wordにはnilが代入される
  • @wordがnilならば
    • set_changeメソッドで@wordに新規作成したWordオブジェクトを代入、@pathと@submitを初期化
    • フラッシュに「単語・・・は未登録のため変更できません」をセット。 今回の送信でフラッシュを使うのでflash.nowとnowメソッドをつける
    • 再びchangeビューを作成し、unprocessable_entityのステータスコードとともに送信
  • そうでなければ@wordのjp部分のデータを用いてデータベースを書き換える(update)。 その書き換えが成功した場合は
    • フラッシュに「単語を変更しました」をセット
    • showアクションへリダイレクト
  • データ書き換えに失敗した場合は
    • set_changeメソッドで@pathと@submitを初期化。 @wordはnilではないので変更されない。 この@wordには書き換え時のエラーメッセージが保持されている
    • フラッシュに「変更した単語を保存できませんでした」をセット。
    • 再びchangeビューを作成し、unprocessable_entityのステータスコードとともに送信

やっていることはcreateアクションと似ています。 違いはsaveの代わりにupdateを用いているところです。

  • saveは@wordのデータ全部を作成または更新する
  • updateは@wordの指定されたフィールドのデータのみを更新する

saveは更新にも使えるのでこちらをupdateの代わりに使うこともできます。

show アクション

createとupdateのリダイレクト先のshowアクションについて説明します。 showアクションは特定の1つの単語について表示します。 どの単語かの指定はアドレスの中に書きます。

  • words/show/1=>データベースからid=1の要素を取り出して表示
  • words/show/2=>データベースからid=2の要素を取り出して表示

このような形になります。 createやupdateでは

redirect_to "/words/show/#{@word.id}", status: :see_other

とい形でshowメソッドにリダイレクトしていました。 #{@word.id}の部分が取り出したいデータのidになります。 すなわち、createやupdateで作成または変更したデータのidです。

showメソッドへのルーティングは次のようになります。

get 'words/show/:id', to: "words#show"

GETメソッドでwords/show/:idのアドレスで呼ばれた場合、Wordsコントローラのshowアクションを呼び出します そのとき、:idの部分はパラメータになり、params[:id]でその値を読み出すことができます。 つまり/words/show/10でアクセスするとparams[:id]は10になります。

コントローラにおけるアクションは次のようになります。

def show
  begin
    @word = Word.find(params[:id])
  rescue ActiveRecord::RecordNotFound
    @word = nil
    flash.now[:alert] = "データベースにはid=#{params[:id]}のデータは登録されていません"
  end
end    

findメソッドは引数がidの値になるようなデータを探して取り出します。 データベースからparams[:id]の値がidフィールドに書かれているレコードを取り出し、@wordに代入します。 データが取り出せないときには例外が発生しますので、それを捕捉し、@wordをnilにしてフラッシュを作成します。

ここで、beginとrescueの使い方を説明します。 Rubyは例外が発生するとそこでプログラムを停止し、例外の内容を表示します。 プログラムを停止したくない場合はbeginとrescueを使い「例外の捕捉(つかまえること)」をします。 beginとrescueの間に例外が発生する可能性のあるステートメントを書きます。 rescueの次に想定される例外の名前を書きます。 その例外が発生するとrescue節に実行が移るので、そこで例外に対する処置を行います。

ビューは次のようになります。

<% if @word %>
  <ul class="list-group">
    <li class="list-group-item"><%= @word.en %></li>
    <li class="list-group-item"><%= @word.jp %></li>
  </ul>
<% end %>

@wordがnilのときは何も表示されません。 それでもフラッシュだけは表示されます。

今回はWordbookの単語登録と変更について書きました。 これが全体の3分の1くらいになります。 次回は残りの単語検索と削除を説明します。

徒然Ruby(28)Rails7とBootstrap5

一般に、HTMLは文書の構造を表し、CSSはその体裁(見栄え)を表します。 Railsは最終的にCSSを含むHTML文書を出力するので、この2つについての理解が必須です。 この記事ではとくにCSSの人気ライブラリであるBootstrapを紹介します。 BootstrapはJavascriptも含んでいます。

インストール

RailsとBootstrapの両方とも開発スピードが速いです。 そのため両者を組み合わせてインストールするのは、なかなか難しいものがあります。

  • インターネット情報は古いものが多い
  • 最新のバージョンの組み合わせに対する情報が少ない

今回ここで紹介するのはRails7とBootstrap5の組み合わせで「rails new」コマンドに「-c bootstrap」または「--css=bootstrap」オプションをつける方法です。 自分にとっても新しい方法なので、この記事が正しいと保証することができません。 ひとつの体験談として、また数ある情報のひとつとしてお考えいただきたいと思います。 また、この記事に基づいて行ったことから発生する問題に対して何ら保証するものではありませんので、自己責任でお願いします。

(補足)古いバージョンのrailsではgemを使っていました。 たとえば、bootstrapbootstrap-sassなどです。 Rails7でもそれらを使うことは可能だと思います。 ただし、bootstrap-sassはBootstrap3にしか対応していません。 rails7では、newコマンドでBootstrap5の導入が簡単にできるようになりました。 ここで用いた方法以外にCDNを使う方法も可能だと思います(検証不十分)。 CDNはBootstrapで推奨されている方法で、詳しくはBootstrapのサイトを見てください。

私のPC環境は「Ubuntu 22.04」です。

rails new word_book_rails -c bootstrapを行うと、エラーが出ました。

error @hotwired/turbo@7.2.2: The engine "node" is incompatible with this module. Expected version ">= 14". Got "12.22.9"
error Found incompatible module.

Ubuntu22.04の現在のnodejsのバージョンが12.22.9なので、それが古いというエラーだと思われます。 nodejsの新しいバージョンをインストールする情報がnodesource/distributionsにあります。 エラーメッセージではバージョン14以上が必要となっていますが、最新が18なので、それをインストールしてみます。 nodesource/distributionsのREADME.mdの情報によると、次のコマンドを実行すればよいとのことです。

curl -fsSL https://deb.nodesource.com/setup_18.x | sudo -E bash - &&\
sudo apt-get install -y nodejs

実行したところなぜかエラーになり、その後sudo apt autoremovesudo apt remove nodejssudo apt install nodejsしたところ最新版がインストールできました。 エラーが気になりますが、一応次のようになっています。

$ node --version
v18.11.0

word_book_railsフォルダを削除して、再度newコマンドで作成します。

$ rm -rf word_book_rails
$ rails new word_book_rails -c bootstrap

たくさんのメッセージが現れ、数多くの作業が行われていることが感じられます。 途中で

npm WARN set-script set-script is deprecated, use `npm pkg set scripts.scriptname="cmd" instead.

という警告が出ますが、エラーではないので問題ないでしょう。 また、次のようなメッセージも出ます。

File unchanged! The supplied flag value not found!  app/assets/config/manifest.js

これがエラーなのか、警告なのか、あるいは問題のない状況なのかは良く分かりませんでした。 しかし、フォルダ内を見渡したところ、Bootstrapはインストールできているので、このまま次の作業に入りたいと思います。

Bootstrapとは?

BootstrapはCSSJavascriptのライブラリです。 これを使うことによって、ウェブの見栄えを美しくしたり、プルダウンメニューのような動的画面を簡単に作ることができます。 これをBootstrap無しで一から作るとしたら、膨大な時間がかかります。 Bootstrapは本当に神様のようなライブラリです(しかも無料)。 また、CSSJavascriptをよく知らなくても使えるので、学習コストを大幅に下げることができます。

具体的な例はBootstrapのウェブサイトを参照してください。 例えば「Components」の「Buttons」を見ると、サンプルとコードがあります。

Bootstrap=>ドキュメント=>Components=>Buttons

<button type="button" class="btn btn-primary">Primary</button>
<button type="button" class="btn btn-secondary">Secondary</button>
<button type="button" class="btn btn-success">Success</button>
<button type="button" class="btn btn-danger">Danger</button>
<button type="button" class="btn btn-warning">Warning</button>
<button type="button" class="btn btn-info">Info</button>
<button type="button" class="btn btn-light">Light</button>
<button type="button" class="btn btn-dark">Dark</button>

<button type="button" class="btn btn-link">Link</button>

サンプルのような色、形のボタンを作るには、対応するコードを書けば(コピペすれば)良いだけです。

また、「Layout」の「Containers」はレスポンシブデザイン(ディスプレイ画面の大きさに合わせて描画領域を自動的に変更する)のコンテナ(箱)です。 bodyタグの内側を<div class="container"></div>で囲めば、その内容を画面サイズに合うようにサイズ調整してくれます。

この他にも有用な機能が数多くあるので、良く見てください。

Bootstrapの使用例

今回はBootstrapのコンテナ、コラムとナビゲーションバーを使おうと思います。

作成する単語帳のウェブサイトを「Wordbookサイト」または単に「Wordbook」と呼ぶことにします。

コンテナ

Wordbookのすべてのビュー(画面)はレスポンシブデザインになるように、コンテナの中にいれます。 すべてのビューはapplication.html.erbの中に埋め込まれるので、このファイルにコンテナを設定します。

app/views/layouts/application.html.erbをエディタで開き、ボディタグの中身を次のように変更します。

<body>
  <div class="container">
    <%= yield %>
  </div>
</body>

それぞれのビューはyieldのところに埋め込まれるので、すべてのビューがclass="container"のdivタグに囲まれ、レスポンシブになります。 この効果は後ほど見ることにします。

パーシャルとナビゲーションバー

Wordbookのビューの多くはナビゲーションバーを持ちます。 ナビゲーションバーには、append、change、delete、listなどのメニュー(実際にはリンク)を設定します。 すべてのビューではないのでapplication.html.erbに書くことはできないのですが、多くのビューで使うものなのでパーシャルに記述します。 パーシャルはビューから呼ばれ、そこに埋め込まれるファイルです。

<%= render "abc" =>

とビューの中で書かれた部分はapp/views/_abc.html.erbの内容で置きかえられます。 ファイル名の先頭にはアンダースコア(_)がつくことに注意してください。

Bootstrapのウェブの「Components=>Navbar」に例があります。 そのコードをコピペしてから改変します。 以下にパーシャルapp/views/_navbar.html.erbの内容を示します。

<nav class="navbar navbar-expand-lg navbar-light bg-light">
  <div class="container-fluid">
    <a class="navbar-brand" href="#">Navbar</a>
    <button class="navbar-toggler" type="button" data-bs-toggle="collapse" data-bs-target="#navbarSupportedContent" aria-controls="navbarSupportedContent" aria-expanded="false" aria-label="Toggle navigation">
      <span class="navbar-toggler-icon"></span>
    </button>
    <div class="collapse navbar-collapse" id="navbarSupportedContent">
      <ul class="navbar-nav me-auto mb-2 mb-lg-0">
        <li class="nav-item">
          <a class="nav-link active" aria-current="page" href="/">Home</a>
        </li>
        <li class="nav-item">
          <a class="nav-link" href="/words/append">Append</a>
        </li>
        <li class="nav-item">
          <a class="nav-link" href="/words/change">Change</a>
        </li>
        <li class="nav-item">
          <a class="nav-link" href="/words/delete">Delete</a>
        </li>
        <li class="nav-item">
          <a class="nav-link" href="/words/search">Search</a>
        </li>
    </div>
  </div>
</nav>

10行目から24行目までが改変部分で、メニュー名とリンク先以外はすべてコピペです。 順序なしリスト(<ul>タグで囲まれた部分)の各項目は次の通りです。

  • Home=>初期画面に戻る
  • Append=>単語を追加する画面に遷移する
  • Change=>単語を変更する画面に遷移する
  • Delete=>単語を削除する画面に遷移する
  • Search=>単語を検索しマッチした単語のリスティング画面に遷移する
ビュー

ビューでは「単語帳」という見出しと使い方の順序なしリストを表示することにします。 リストの各項目が短い文字列なので、コンテナの幅のままだとPC画面では横長になりすぎます。 (例えば私のノートPCは幅が1920ピクセルなので、コンテナの幅は1320ピクセルに設定されます)。 他方、スマホのような小さい画面ではコンテナは全画面を使用し、それが最適な表示になります。

そこで、画面サイズに応じた表示幅を設定しなければなちません。 Bootstrapでは画面幅を次のように分けています。

ブレークポイント クラスの接中辞 画面幅の範囲 コンテナの幅
X-Small なし <576px 100%
Small sm ≥576px 540px
Medium md ≥768px 720px
Large lg ≥992px 960px
Extra large xl ≥1200px 1140px
Extra extra large xxl ≥1400px 1320px

例えば、私のPC画面は幅1920pxでxxlになりますから、コンテナの幅は1320pxです。

BootstrapではX-Smallからxxlまでのどの画面でもコンテナの幅を12等分してカラム(列)を作ります。 3カラム分の幅をとりたいときはクラスにcol-3を指定すればよいのです。 この幅は3/12=1/4なので、コンテナの幅の4分の1になります。 (詳しくはBootstrapのカラムのStandalone Column Classesを参照してください)。

また、例えば、画面サイズがMediumのときには6カラム分にしたければcol-md-6とクラスに指定します。 次の例を見てください。

<div class="col-sm-10 col-lg-8 col-xl-6 mx-auto">
... ... ...
... ... ...
</div>
  • sm、lg、xlが使われている。
    • xlは1200px以上なので、xxlも含めて6カラムになる=>xlが1140/12*6=570、xxlが1320/12*6=660
    • lgは8カラム=>960/12*8=640
    • smは576px以上なので、mdも含めて10カラムになる=>smが540/12*10=450、mdが720/12*10=600
    • 上記で指定されていないX-Small(576px未満)は「コンテナのサイズ(12カラム)=画面のサイズ」になる
  • mx-autoは、(m)マージンの(x)左右を(auto)自動にする。 このときコンテンツがセンタリングされる状況になる。 (W3C CSSヒントとトリック参照)

このように画面サイズに応じた幅を取ることができます(レスポンシブ・デザイン)。 のちほど、ビューの中でこのタグが使われます。

動作確認

Bootstrapの効果を確認するために、初期画面のみ実装してみます。 ルーティング、コントローラ、ビューの3つが必要です。

config/routers.rbroot "words#index"の1行を加えます。

Rails.application.routes.draw do
  # Define your application routes per the DSL in https://guides.rubyonrails.org/routing.html

  # Defines the root path route ("/")
  # root "articles#index"
  root "words#index"
end

コントローラWordsを作ります。 アクションは初期画面がindexで、AppendからListまではそれぞれ同名小文字にします。 railsのgenerateコマンドで作成します。

$ bundle exec rails generate controller Words index append change delete search
      create  app/controllers/words_controller.rb
       route  get 'words/index'
              get 'words/append'
              get 'words/change'
              get 'words/delete'
              get 'words/search'
      invoke  erb
      create    app/views/words
      create    app/views/words/index.html.erb
      create    app/views/words/append.html.erb
      create    app/views/words/change.html.erb
      create    app/views/words/delete.html.erb
      create    app/views/words/search.html.erb
      invoke  test_unit
      create    test/controllers/words_controller_test.rb
      invoke  helper
      create    app/helpers/words_helper.rb
      invoke    test_unit

コントローラの内容変更は今のところありません。

ビューを作ります。 app/views/words/index.html.erbを編集します。

<div class="col-sm-10 col-lg-8 col-xl-6 mx-auto">
  <%= render "navbar" %>
  <h1 class="text-center">単語帳</h1>
  <h5>単語帳の使い方</h5>
  <ul class="list-group">
    <li class="list-group-item">Wordbook: 初期画面に戻ります</li>
    <li class="list-group-item">Append: 単語を追加します</li>
    <li class="list-group-item">Change: 登録済み単語を変更します</li>
    <li class="list-group-item">Delete: 単語を削除します</li>
    <li class="list-group-item">Search: 単語を検索しマッチした単語を表示します</li>
  </ul>
</div>

以上の準備をしたら、railsでサーバを動作させてブラウザで画面確認します。 今回はbundle exec rails serverを使わずに./bin/devを使います。 これは、前者ではJavascriptが動作しないためです。 Rails Guideの「Working with JavaScript in Rails」の「2 Adding NPM Packages with JavaScript Bundlers」に./bin/devのことが書かれています。

$ ./bin/dev
21:03:34 web.1  | started with pid 50151
... ... ...
... ... ...
21:03:35 web.1  | * Listening on http://127.0.0.1:3000
21:03:35 web.1  | * Listening on http://[::1]:3000
21:03:35 web.1  | Use Ctrl-C to stop
21:03:36 css.1  | Sass is watching for changes. Press Ctrl-C to stop.
21:03:36 css.1  | 

ここでブラウザでhttp://localhost:3000を見てみます。

Word-indexの画面

コンテンツの幅がコンテナよりもかなり小さくなっていることが分かると思います。 また、上にナビゲーションバーも表示されています。

ブラウザがChromeであれば、スマホ画面でどうなるかを確かめることができます。 右上の3つドットが縦に並んでいるアイコンをクリック=>その他のツール=>デベロッパーツール、と選択します。 中央上に画面サイズ設定のメニューがあります。 そこで、IphoneSEのサイズを選んだのが次の図になります。

iPhoneSEサイズのWord-index画面

スマホ画面いっぱいにコンテンツが表示されていて、レスポンシブ・デザインが効いていることがわかります。 また、ナビゲーションバーも変化しています。 ハンバーガーメニューが右上に現れ、それをクリックするとドロップダウンメニューの中にAppendからListまでのメニューが入っています。 このような動的な動きはBootstrapのJavascriptがやっています。

まとめ

Bootstrapを用いたので労せずメニューやレスポンシブデザインを作ることができました。 BootstrapはRailsに限らず、一般のウェブサイト制作に適用することができます。 どんどん使ってみてください。

次回はいよいよ単語データを登録する部分にチャレンジします。

徒然Ruby(27)「Ruby on Rails」インストール

Rubyの最も人気のあるアプリケーションであるRuby on Railsを取り上げようと思い、書き始めました。 予想してはいましたが、相当な分量になってしまいました。 そのため、何回かに分けて記事にすることにします。 また、対象となる読者のレベルをどうしようかと考えましたが、「徒然Ruby」が基礎的な内容から始まったことに鑑み、初心者レベルから始めることにしました。 Railsを仕事で使っているような方には面白くないかもしれませんが、ご容赦ください。

ドキュメント

定番のドキュメントを3つ挙げておきます。

Rails Guide」「API reference」「ソースコード」を理解すれば完璧ですが、初心者には難しいかと思います。 「Railsチュートリアル」(無料でもよい)から始めるか、または「Railsガイド」の第1章から読み始めると良いと思います。

インストール

RailsRubyのgemです。 gemコマンドでインストールできます。

$ gem install rails

RailsではSqlite3データベースが標準です。 あらかじめインストールしておきます。 また、gitを使うので未インストールの場合はここでインストールしておいてください。

$ sudo apt install sqlite3 git

wordbookのRails

本記事でRailsの例として作ろうと考えているのは、minitestのところで作った単語帳アプリwordbookのRails版です。 ただし、ウェブでの一般公開ではなく、ローカル(自分のPC)での使用を考えています。

wordbookはReadlineを使ったCUI(Character User Interface: 文字ベースのユーザ・インターフェース)でした。 これをGUI(Graphical User Interface: グラフィック画面ベースのユーザ・インターフェース)にしたいのですが、RubyGUIはまだ定番がありません。 そこで、ウェブ・ブラウザ上のGUIを利用してwordbookを動かそうというのが狙いです。

newコマンド

Railsのnewコマンドは、ウェブ・アプリ開発に必要な材料を揃えてくれます。

$ rails new word_book_rails
      create  
      create  README.md
      create  Rakefile
... ... ...
... ... ...
         run  git init from "."
Initialized empty Git repository in /ユーザディレクトリ・・・/word_book_rails/.git/
      create  app
      create  app/assets/config/manifest.js
... ... ...
... ... ...
         run  bundle install
Fetching gem metadata from https://rubygems.org/...........
Resolving dependencies.......
Using rake 13.0.6
... ... ...
... ... ...
Bundle complete! 15 Gemfile dependencies, 72 gems now installed.
... ... ...
... ... ...
$ ls
Gemfile  Gemfile.lock  README.md  Rakefile  app  bin  config  config.ru  db  lib  log  public  storage  test  tmp  vendor

newコマンドは沢山の仕事をします。

  • word_book_railsというディレクトリを作成し、様々なファイルをそのディレクトリ以下に作成する
  • git initによってそのディレクトリでgitが使えるよう初期化する
  • Gemfileを作成し、bundlerを起動して必要なgemをインストールする
  • その他必要なことを行う

ディレクトリをリスティングすると様々なファイルとフォルダ(フォルダとディレクトリは同じ。Railsでは「フォルダ」ということが多い)が作成されています。

この段階でテンプレートのウェブを表示することができます。

$ bundle exec rails server
=> Booting Puma
=> Rails 7.0.4 application starting in development 
=> Run `bin/rails server --help` for more startup options
Puma starting in single mode...
* Puma version: 5.6.5 (ruby 3.1.2-p20) ("Birdie's Version")
*  Min threads: 5
*  Max threads: 5
*  Environment: development
*          PID: 5144
* Listening on http://127.0.0.1:3000
* Listening on http://[::1]:3000
Use Ctrl-C to stop

rails server」はローカルでサーバーを立ち上げるコマンドです。 このフォルダではbundlerでgemがインストールされているので、プログラムの起動には常に「bundle exec」をつけます。 「rails server」の短縮形「rails s」でも動作は同じです。 ローカル・ホストのポート3000(http://localhost:3000/)をブラウザで見ると、テンプレートのウェブを見ることができます。

Railsのテンプレート画面

サーバを終了するには、コマンドラインから「CTRL-C」を入力します。

ここまでやったことがどういう意味を持つのかを次のセクションで説明しましょう。

ウェブサーバとクライアント

インターネットでは「サーバ」に対して「クライアント」という言葉を使います。 もしあなたがインターネットでウェブを見ているとしたら、そのあなたのPCがクライアントです。 また、ネット上のコンピュータは「ホスト」とも呼ばれます。

ネット上のサーバとクライアントを詳しく見ると、通信をしているのは、サーバコンピュータ内の「ウェブサーバーアプリ」とクライアントコンピュータ内の「ブラウザ」です。 コンピュータ同士ではなく、コンピュータ内のアプリケーション同士が繋がっていることに注意してください。

インターネットを介した接続

それに対して、前のセクションではRailsとブラウザがひとつのPC内にネットワークを作って接続されていました。

PC内のネットワーク接続

図では「puma」と「rails」がサーバ側でセットになっています。 pumaはサーバ機能を提供するアプリケーションです。 ひとつのコンピュータの中でサーバとクライアントが動いていて、ちょうどインターネット接続のようなことが行われています。

ひとつのPC内にネットワークを作ることに意味はあるのでしょうか?

アプリケーション作成においては多少の意味があります。 一般にアプリケーションにGUIインターフェースを持たせるのはかなり大変です。 特にRubyの場合はこれといったGUIの決定版がありません。 それに対するひとつの答えがブラウザのGUIを利用することです。 もちろんこれがベストだとは思いませんが、選択肢のひとつだとは思います。

もっと重要なのは、ウェブサービスアプリのテストを行えるということです。 これがローカルでサーバとブラウザを使う最大の意義だと思います。

さて、具体例に戻りましょう。 ブラウザが「http://localhost:3000」にアクセスしました。 「localhost」はIPアドレスでは「127.0.0.0」で、そのPC自身を表します。 localhostの「ローカル」は自分(の場所)「ホスト」はPCのことです。 したがって、「ローカルホスト」は自分のPCのことを指しているわけです。

「3000」はポート番号を表します。 ポートとは、サーバ内の様々なサーバーアプリケーションに割り当てられる番号です。 この割当は、ある程度決まったものがあります。 そのごく一部を表にしました。

ポート番号 サービス 意味
80 HTTP ウェブサービス
21 FTP ファイル転送
110 POP3 メールサーバとクライアント通信
443 HTTPS 暗号化されたウェブサービス

これらは、システムポート番号(0から1023まで)に属するポートです。

これに対して1024から49151はユーザポート番号といいます。 この範囲でも公式または非公式に決まった使い方があります。 3000はRuby on Railsの開発用ポート(非公式)ですが、他の用途に用いられることもあります。 49152から65535は決まった割当のない「動的・私的ポート番号」になっています。 (ウィキペディア「ポート(コンピュータ・ネットワーク」より)

http://localhost:3000は自分のPCのrailsの提供するサービスを指しています。 ブラウザがそこをアクセスするとrailsとpumaがウェブ画面のデータを送ってきて、それが表示されたわけです。

ルーティング、コントローラ、ビュー

ルーティング

bundle exec rails serveによってhttp://localhost:3000word_book_rails以下のディレクトリに作られたrailsウェブアプリケーションに割り当てられました。 同様にhttp://localhost:3000/abc.htmlも同じウェブアプリケーションに対するリクエストになります。 このアドレスを2つの部分に分けて

  • http://localhost:3000の部分はシステムによって(pumaと)railsウェブアプリケーションに処理が任される
  • /abc.htmlの部分はrails内部でどのように処理するかを決める

このうち2番めの処理は、ルーティング、コントローラ、ビューに分かれます。

  • ルーティングは「abc.htmlのようなアドレスの下位の部分」に対応する「コントローラ」へ処理を移す
  • コントローラは様々な処理の調整を行う
  • ビューはブラウザに送るHTMLを組み立てる

ルーティングは/config/routes.rbで設定します。 初期状態では設定は空の状態になっています。

Rails.application.routes.draw do
  # Define your application routes per the DSL in https://guides.rubyonrails.org/routing.html

  # Defines the root path route ("/")
  # root "articles#index"
end

ルーティングはdoとendの間のブロック部分に書きます。 例えば、root(これは/と同じで、アドレスでhttp://localhost:3000/に相当する)に対してWordsコントローラのindexアクションに対応させるには、

root "words#index"

と書きます。

また、/abc.htmlに対してAbcコントローラのindexアクションに対応させるには、

get "/abc.html", to: "abc#index"

と書きます。

getはHTTPプロトコルのリクエスト・メソッドです。 HTTPはウェブサーバとクライアント(ブラウザ)が通信するためのプロトコル(手続き方法)です。 HTTPではクライアントがリクエストを送り、サーバがそれに応答するというパターンで通信が進みます。 このリクエストでよく使われるのがgetとpostというメソッドです。

  • getはサーバのリソース(HTML文書など)を送れ、というリクエス
  • postはサーバへクライアントからデータを送るリクエスト。 例えば、テキストを書いたりチェックボックスを選択したりしたデータをサブミット(送信)ボタンをクリックして送るような場合

ルーティングの詳細はまた別の記事で説明します。

コントローラ

コントローラはデータの種類ごとにひとつずつ作ります。 例えばブログサービスのrailsアプリでは、ユーザ管理のコントローラUsers、記事管理のコントローラArticlesなどがあります。

今回作る単語帳は単語のコントローラWordsのみで十分です。 コントローラを作るにはrailsのgenerateコマンドが便利です。

$ bundle exec rails generate controller Words
      create  app/controllers/words_controller.rb
      invoke  erb
      create    app/views/words
      invoke  test_unit
      create    test/controllers/words_controller_test.rb
      invoke  helper
      create    app/helpers/words_helper.rb
      invoke    test_unit
$

コントローラは大文字で書きはじめ、通常複数形にします。 複数形にする理由は、単語1個のデータだけでなく、複数の単語を扱うからです。 コントローラ名が2語以上からなる場合はキャメルケース(例えばWordBooks)を使います。

app/controllers/word_controller.rbが、さきほど生成されたコントローラのファイルなので見てみましょう。

class WordsController < ApplicationController
end

コントローラは、Ruby言語のクラス定義に相当します。 この中にインスタンスメソッドを定義して、コントローラの動作を記述します。 Railsではこのインスタンスメソッドを、コントローラの「アクション」と呼びます。

本格的にコントローラを書くのは後の記事になります。 ここでは、indexというアクションを書いてみましょう。

class WordsController < ApplicationController
  def index
  end
end

空のメソッドindexを定義しました。

ルーティング(config/routes.rb)を次のように設定しましょう。

Rails.application.routes.draw do
  # Define your application routes per the DSL in https://guides.rubyonrails.org/routing.html

  # Defines the root path route ("/")
  # root "articles#index"
  root "words#index"
end

コメント部分は取り去っても構いません。 これでhttp://localhost:3000またはhttp://localhost:3000/(末尾にスラッシュがある)はWordsコントローラのindexアクションにルーティングされます。 これを"words#index"と書きます。

ビュー

コントローラで特にHTMLを書き出す記述がなければ、対応するビューが呼ばれHTMLを出力します。 "words#index"のアクションに対応するビューはapp/views/words/index.html.erbです。 このファイルはまだ作成されていません。 次のような内容で作成しましょう。

Hello, world.

これでブラウザ画面に「Hello, world.」が表示されるはずです。

読者の中には「HTMLデータにしては、ヘッダもボディタグもなくておかしいな」と思った方がいらっしゃるのではないでしょうか。 実は、このファイルはレイアウトファイルの中に埋め込まれるパーツなのです。 レイアウトファイルはapp/views/layouts/application.html.erbと決まっています。 このファイルを見てみましょう。

<!DOCTYPE html>
<html>
  <head>
    <title>WordBookRails</title>
    <meta name="viewport" content="width=device-width,initial-scale=1">
    <%= csrf_meta_tags %>
    <%= csp_meta_tag %>

    <%= stylesheet_link_tag "application", "data-turbo-track": "reload" %>
    <%= javascript_importmap_tags %>
  </head>

  <body>
    <%= yield %>
  </body>
</html>

このファイルの<% ... ... %><%= ... ... %>の部分はRubyコードの埋め込みです。 それ以外はHTML文書になっています。

  • <% ... ... %>は単なるRubyコードの記述
  • <%= ... ... %>Rubyコードを実行した値をHTMLに埋め込む。 例えば、<%= 1+2 %>は文字列の3をその部分に埋め込む。 ブラウザで表示すると、その部分に3が表示される

Rubyの埋め込みは全部で5つありますが、そのうちのはじめの4つの内容説明は省略します。 最後の<%= yield %>の部分にapp/views/words/index.html.erbの内容が埋め込まれます。 先程作ったファイルの場合は「Hello, world」が埋め込まれることになります。

動作確認

3つのファイルを変更、作成しました。

  • config/routes.rb
  • app/controllers/word_controller.rb
  • app/views/words/index.html.erb

これをテストしてみましょう。

$ bundle exec rails server

ブラウザでhttp://localhost:3000を見てみましょう。

今度は左上に「Hello, world.」が表示されているはずです。

このように、Railsではリクエストに対して

  • ルーティング
  • コントローラ
  • ビュー

の順に処理がつながっていきます。 このことをまず理解してください。 今回は以上です。

徒然Ruby(26)gemとbundler

[:comtemts]

Rubygems

Rubyではライブラリのことをgem(英語の発音はジェムで意味は「宝石」)といいます。 そして、Rubyのライブラリ管理システムをRubygemsといいます。 gemはhttps://rubyges.orgに保管されています。 このウェブサイトをブラウザで開くと、gemを検索し、gem情報を確認できます。

このウェブサービスRuby on Railsで作られているそうです。

ここからgemをダウンロード・インストールする仕組みもRubygemsと呼ばれ、Rubyに標準で添付されています。 狭い意味ではこれがRubygemsです。

Rubygemsのドキュメントは充実しています。 まずはRubyのドキュメントから見てください

ここにgemコマンドの使い方が書かれています。 Rubygems全般のドキュメント(英語)はRubygemsのウェブサイトにあります。

gemをホームページで探し、ダウンロードするだけならRubyのドキュメントの解説だけで十分です。

gemコマンド

さきほどのリンク先を参照してもらえば十分なので、このセクションではgemコマンドを使い、インストール、実行までの実例を示します。 なお、自前のgemを作ることもできますが、ここでは扱いません(それができるくらいなら「徒然Ruby」を読む必要ないですよね)。

rakというプログラムを例にとります。 このプログラムはカレントディレクトリ以下のファイルからパターンに対応する文字列が含まれるファイルを検索し、該当行を表示するプログラムです。 Unixgrepに似ていますが、あるディレクトリの下にあるファイルすべてを対象にするのが特長です。

gemのインストールには「gemコマンド」に動作の指定「install」をつけ、「gem名」を続けます。 rakのインストールの場合は「gem install rak」です。

$ gem install rak
Fetching rak-1.4.gem
Successfully installed rak-1.4
Parsing documentation for rak-1.4
Installing ri documentation for rak-1.4
Done installing documentation for rak after 0 seconds
1 gem installed
$

これだけでインストールが完了します。 gemには、大別してライブラリと実行プログラムがあります。 rakは実行プログラムです。 rakを実行すると、赤でハイライトされた検索結果が表示されます。

$ rak webrick
Gemfile
6|gem "webrick"
$

この例では、カレントディレクトリのGemfileの6行目に「gem "webrick"」という行があることを示しています。

rakが不要になり、アンインストールしたい場合は次のようにします。

$ gem uninstall rak

他の操作については、Rubyのドキュメントを参考にしてください。

bundlerコマンド

gemに似たコマンドにbundlerがあります。 これもRubyに同梱されています。 bundlerはカレントディレクトリに書かれたGemfileに基づいてgemをインストールします。 Gemfileには複数のgemを指定でき、一度にインストールできるので、gemコマンドよりも便利です。 bundlerは、特に多くのgemを必要とする大規模なプログラムに向いています。 個人が小さいプログラムを作る場合にはgemコマンドで十分です。

gemのバージョンについても指定ができます。 特定の古いバージョンのgemでないと動作しないプログラムの場合は、Gemfileにそのgemのバージョンも記しておきます。 これは特に公開プログラムでは重要で、新しいバージョンのgemに対応するまでの間のつなぎとして用いられます。

多くの人にとってはbundlerを使うのはRuby on Railsでウェブサイトを作るような場合ではないでしょうか。 自作のプログラムでbundlerを使うケースはまだまだ少ないように思います。 そこで、ここではRailsに似ているが、それよりは簡単なアプリケーションであるJekyllを例にとってbundlerを説明したいと思います。 なお、Jekyllは静的なウェブサイトを作成するためのプログラムです。 Jekyllの詳細は「はじめてのJekyll + GitHub Pages」を参照してください。

まず、Jekyllをインストールします。

$ gem install jekyll

ここでは、sampleという名前のサイトを作りましょう。 「jekyll new」でサイトの元になるファイル群を作成します。

$ jekyll new sample
$ cd sample
$ ls
404.html  Gemfile  _config.yml  _posts  about.markdown  index.markdown

新しくディレクトリsampleが作られ、その下にいくつかのファイルが作られています。 その中にはGemfileもあります。 Gemfileは少し長いので、ここではコメント部を省略して掲載します。

source "https://rubygems.org"
gem "jekyll", "~> 4.2.2"
gem "minima", "~> 2.5"
group :jekyll_plugins do
  gem "jekyll-feed", "~> 0.12"
end
platforms :mingw, :x64_mingw, :mswin, :jruby do
  gem "tzinfo", "~> 1.2"
  gem "tzinfo-data"
end
gem "wdm", "~> 0.1.1", :platforms => [:mingw, :x64_mingw, :mswin]
gem "http_parser.rb", "~> 0.6.0", :platforms => [:jruby]

OSがLinuxの場合、platformsのブロックは実行されないので、それを除くと5つのgemが指定されています。 ローカルでJekyllを動かす場合、webrickというgemが必要です。 webrickはRuby3.0から標準ライブラリから削除されましたので、Rubygemsからのインストールが必要です。 Gemfileをエディタで開き、webrickを追加します。

gem "webrick"

Gemfileに書かれたgemをインストールするには、bundlerを用います。 コマンドラインから「bundle install」としてください。 bundlerを起動するためのコマンド名は「bundle」です。

$ bundle install
Fetching gem metadata from https://rubygems.org/............
Resolving dependencies...
Using public_suffix 5.0.0
Using bundler 2.3.23
... ... ...
... ... ...
Using jekyll 4.2.2
Using jekyll-feed 0.16.0
Using jekyll-seo-tag 2.8.0
Using minima 2.5.1
Bundle complete! 8 Gemfile dependencies, 32 gems now installed.
Use `bundle info [gemname]` to see where a bundled gem is installed.

途中省略しましたが、全部で32個のgemがインストールされました(下から2行目を見てください)。 gemの数が多くなったのは「Gemfileで指定したgemが依存するgem」も含めてインストールしたからです。

インストール時に新しいファイル「Gemfile.lock」が作られます。 このファイルはインストール時点で「Gemfile指定バージョンの範囲での最新のgem」を確定したものです。 プログラムはこのファイルに基づいてバージョンが選ばれ、実行されます。 実行は「bundle exec プログラム名」という形で行います。 例えばjekyllでサーバーを起動するには「bundle exec jekyll serve」です。 単に「jekyll serve」とすると、Gemfile.lockのバージョンに無関係にgemが起動されます。 通常はその時点での最新版が使われます。 プログラムによっては旧版でないと動かない場合もあるので、Gemfile.lockのバージョンを守ることが大事です。 したがって、「bundle exec」は必ず付けてください。

$ bundle exec jekyll serve
Configuration file: /home/ユーザディレクトリ... .../sample/_config.yml
            Source: /home/ユーザディレクトリ... .../sample
       Destination: /home/ユーザディレクトリ... .../sample/_site
 Incremental build: disabled. Enable with --incremental
      Generating... 
       Jekyll Feed: Generating feed for posts
                    done in 0.417 seconds.
 Auto-regeneration: enabled for '/home/ユーザディレクトリ... .../sample'
    Server address: http://127.0.0.1:4000/
  Server running... press ctrl-c to stop.

下から2行目に「ローカルホストの4000番ポート」にサーバアドレスが設定されていることが記されています。 ブラウザ(Google ChromeFirefoxMicrosoft Edgeなど)を立ち上げ、「http://localhost:4000/」または同じことですが「http://127.0.0.1:4000/」を開くと、次のような画面が現れます。

sampleのローカルホストの画面

  • 「bundle exec jekyll serve」でローカルホスト(あなたが動かしているコンピュータのこと)がウェブサーバとなった
  • ローカルのアドレス(上記のアドレス)にJekyllが作成したページが存在する
  • ブラウザがそれをアクセスすると、上記の画面が表示される

※ ローカルというのは自分の動かしているコンピュータ、リモートというのはそこから離れて動いている別のコンピュータを指します。 また、ホストとはネットワーク上のコンピュータのことです。 ネットワーク上のサーバもコンピュータであり、ホストと呼ばれます。 サーバにアクセスするコンピュータはクライアントと呼ばれますが、これもホストです。

Jekyllはこのようにウェブサイトを作るプログラムです。 表示されたのはJekyllが作ったサンプルページです。 通常は、ユーザが更にカスタマイズしてウェブページを作ります。

  • Jekyllでは静的なウェブサイトを構築できる
  • JekyllはMarkdownをサポートする=>HTMLを書くよりも作業量が少なくて住む
  • JekyllはLiquidをサポートする=>ウェブサイトの内容をLiquidプログラムで構成できる
  • Jekyllのプラグインを使うとより少ない作業量でウェブサイトを構築できる

詳しくは「はじめてのJekyll + GitHub Pages」を参照してください。

サーバを止めるには「CTRL+C」を押します。

「bundle install」と「bundle exec」が最も良く使うコマンドです。 その他には、gemをGemfileの範囲でアップデートする「bundle update」も使うことがあるでしょう。 bundlerについての更に詳しい情報はホームページを参照してください。

Railsを用いたウェブアプリケーションを作成する場合、Gemfileの内容を変更、追加しなければならないこともあると思います。 その時はbundlerのウェブサイトにある「Gemfileの書き方」(Learn More Gemfiles)を参考にしてください。

まとめ

今回はRubyのライブラリをgemと呼ぶこと、そしてgemのインストール方法を紹介しました。 これを読んでお分かりいただけたと思いますが、gemのインストールは簡単です。 あとは、どんなgemがあるのか、という知識が必要なだけです。

直接Rubygemsで調べるのも良いですが、Bestgemsというgemのランキングサイトも参考になると思います。 今日の時点でのダウンロード1位がbundlerですが、これはbundlerがRuby同梱であることを考えると不思議な気がします。 また、人気のRailsですが40位とかなり低いのも不思議です。

ダウンロード上位のgemは有用なことが多いと思われますので、時々眺めてみると良いでしょう。