今日は数学ネタで、高校生向きの内容です。
※ 「森を見よ」は「木を見て森を見ず」のことわざに由来するものです。 「木を見て森を見ず」とは「細かいことに気を取られて全体を見ることができない」ことです。 「森を見よ」は「全体を見よう」「周りを見よう」「そのことによって理解を深めよう」という呼びかけの言葉です。 そして、数学学習の躓き(つまずき)を解決しようということです。 「おもこん」の新しいシリーズとして立ち上げました。
2の0乗はなぜ1なのか?
そもそも累乗はその指数の分だけ掛け算をするということです。 例えば
は「2を3回かけると8になる」という式です。 2の右上に小さくかかれた3を「指数」といい、式の左辺は「2の3乗」と読みます。
ということですね。
- 2の4乗ならば、2を4回かけることで、16
- 2の5乗ならば、2を5回かけることで、32
このへんの理解は難しくないですね。
指数を小さくしていきましょう。
- 2の3乗ならば、2を3回かけることで、8
- 2の2乗ならば、2を2回かけることで、4
- 2の1乗ならば、2を1回かけることで???
2を1回かけることって何? ここで最初の躓きが起こます。 「1回じゃかけられないじゃん」。 数は2個あって初めて掛け算ができるので、1個じゃ掛け算ができない。
もっともです。
「2の0乗は2を0回かけること」はもっとかけられないじゃん???
これを「そういう決まりになっているんだよ」と説明するので、本人納得できないわけですね。
これを説明するには「森を見よ」、つまり2の0乗や2の1乗だけではなく、その周辺(2の2乗、3乗、4乗・・・)を見ることが役に立ちます。 次の表を見てください。
4 | 8 | 16 | 32 |
この表で2の2乗と2の3乗を比べてみます。
- 2の2乗が4、2の3乗が8で、後者は前者の2倍になっています。
- 2の3乗と2の4乗を比べると、それぞれ8と16で、やはり2倍になっています。
- 2の4乗と2の5乗も16と32でやはり2倍。
「ひとつ右の列に行くと2倍される」という法則があることが分かります。 これは非常に重要なことで、(ちょっと難しくなりますが)公式で書くと、
となります。
これは重要な公式です。 内容的には簡単ですが、案外高校生にはわからないものです。
ちょっと話が横に逸れてしまいました。 次は逆に右から左に行くことを考えています。
- 2の5乗が32、2の4乗が16で、前者を2で割れば後者になる
- 2の4乗が16、2の3乗が8で、前者を2で割れば後者になる
- 2の3乗が8、2の2乗が4で、前者を2で割れば後者になる
ですから、「左に行くと2で割った数になる」とうことです。 さきほどとちょうど反対の計算をすることになります。
2の累乗を並べてると、「右に行くときは2倍」「左に行くときは2で割る」いう法則があることがわかりました。 この法則を用いると2の1乗はどうなるでしょうか?
- 2の1乗は2の2乗の4を2で割ったものですから2になる
- 2の0乗は2の1乗の2を2で割るから1になる
- 2のマイナス1乗は2の0乗の1を2で割るから1/2になる
- 2のマイナス2乗は2のマイナス1乗の1/2を2で割るから1/4になる
これを改めて表にすると次のようになります。
1 | 2 | 4 | 8 | 16 | 32 |
これらは法則を当てはめて出てきた結果ですが、こんなことをして役に立つのというふうに思われるかもしれませんね。
実はこれ役に立つんですね。 この考えを推し進めると、指数関数や対数関数に発展していきます。 そして、それは統計、物理、科学、経済といった広範な分野に応用されます。 ですが、それをここで説明するのは難しいので、「役に立つ」ということだけ理解してください。
※ はじめての「森を見よ」シリーズ、いかがだったでしょうか? 数学では、その対象になっていることだけを見ていてはわからないが、周りを見ると理解できるということがたくさんあります。 今後も「森を見よ」シリーズをよろしくお願いします。