おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

Vine Linux の Texworks(1)

Vine Linux に Texworks をインストールしてみた


Texworksは、LaTeXの編集からコンパイルまでの統合環境です。Windowsでも動き、かなり良い印象をもったので、Vine Linux に入れてみました。

インストールは簡単で、synapticからTexworksを検索し、インストール指定をして実行するだけです。インストールが完了すると、メニューのから、オフィス->Texworks とクリックして、起動できます。

Texworks の「統合環境」とは何か


LaTeXでの、組版作業は、次のような複数の工程をとります。

1 エディタで、ソースファイルを作る。ソースファイル名を、sample.texとする。
2 LaTeXでコンパイルする。日本語のLaTeXは、platexという名前なので、コマンドラインから、
$ platex sample.tex
と入力すると、sample.texというファイルから、sample.dviというファイルができあがる。
3 sample.dviというファイルは、DVIファイルと呼ばれるもので、ソースと比べると印刷物の形式に近い内容となっている。
4 DVIファイルから直接画面表示や印刷ができるdvioutというプログラムがWindowsにはあって、良く使われている。Linuxには、同じような機能をもつxdviがあるが、dvioutほど安定してはいない。とくに日本語に関する部分が不安定なように思う。dvioutは日本人の開発であるのに対し、xdviは外国で生まれたものだというあたりが安定性の違いに現れているのだろう。
5 DVIファイルをpdfやpsファイルに変換するソフトもある。最近はpdfファイルが一般的になったので、pdfにまとめて配布形態とするケースが多いと思う。その場合は、dvipdfmxというソフトを使う。

以上をまとめると、
印刷物の作成者->(エディタ)->sample.tex->(platex)->sample.dvi->(dvipdfmx)->sample.pdf
という工程になる。
すると、この過程で3つのプログラムを使うことになる。
1.エディタ   2.platex   3.dvipdfmx
Texworksは、それ自身にエディタを含み、platexとdvipdfmxをボタン一つで起動することができ、便利になっている。このように、複数の工程を統合して使いやすくしたものが「統合環境」である。

Vine Linux の Texworks の評価


 使い始めた頃、問題点があったが、だんだん慣れて、問題の解決法も分かっていた。
1. エディタの中で、仮名漢字変換をすると、最初の変換文字が現れない。スペースキーを2回以上押すと変換候補が現れるようになるが、1度目だけ白くなって、変換候補が表示されない。これは設定に問題がある。メニューの「編集」->「設定」を開き、エディタのタブの一番下、「現在カーソルのある行をハイライトする」をオフにすることで問題が解決する。
2. Texworksには、ソースとpdfファイルの同期機能があり、pdfの該当箇所を右クリックすると、そのソースの対応箇所にジャンプすることができる。これは大きなファイルになるととても便利な機能である。ところが、Vineでは、この機能(synctex)はサポートされていない。
 それには2重の理由がある。Vineでは、ptetexというベースのtexシステムを採用している。これは古いタイプであるが、安定して動作する。しかし、これにはsynctexのプログラムが含まれていない。これが第1の理由。これに対して、新しいtexシステムのTexliveが現在の開発の中心になっている。こちらの方にはsynctexは取り入れられているのである。Vineでは、最近(2011年の初め)このTexliveがパッケージに登録され、利用可能になった。tetexからtexliveへの移行方法はウェブページに詳しく書かれている。ところが、platexがsynctexに対応していない。これが第2の理由である。現在(2011年2月1日)synctexに対応しているのは、windows版のplatex、eplatexである。そこで、wineを利用して、W32TEX(windows版のtexシステム)を導入するとsynctexを使うことができ、ソースとpdfの同期も実現できる。
 いずれはLinuxのplatexでもサポートされるだろうが、今のところはこのような方法しかないようだ。Windowsではすでにsynctexが使えるので、Vineにも頑張って欲しいところである。

Texworks の良いところ

1.コマンドを色分けして表示してくれ、分かりやすい。
2.短いキーストロークで長いコマンドを入力できる、ショートカットのような機能がある。
3.ボタン1発でコンパイルが完了する。

使い始めはどうもイマイチだったが、使っているうちに、その良さがだんだん分かってきた。現在、よりよく使えるようにカスタマイズ中である。