おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

アンコール遺跡群訪問記(9 天国と地獄・乳海撹拌)

反対側の第一回廊へ

反対側の第一回廊に出ました。再びレリーフが現れます。写真を見てください。壁にずっとレリーフが刻まれていることが分かります。このようにレリーフは非常に長く大きいものです。

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天国と地獄

まず、天国と地獄のレリーフです。

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これは、地獄に落とされた人たちの様です。首輪を付けられ、鼻に紐をを通されて、引っ張られています。

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これは、地獄の釜茹でです。日本と違い、カンボジアの釜茹では油の釜に入れられます。カンボジアでは、こどもに小さいときからお坊さんが善悪についての話をするそうです。良い行いをすれば、天国に行けるが、悪い行いをすると地獄に落ちる。地獄ではこの写真のような悲惨な罰が沢山待っている、そういうことをしっかりと教えるそうです。後でも触れようと思っていますが、カンボジアは最近まで内戦があって、なかなか国が安定しませんでした。ですから、法によって国を安定させることが難しいという事情があったのです。しかし、仏教の教えが人々に浸透しているので、それが倫理的な行動基準となって社会の混乱を回避することができたようです。

乳海撹拌

最後に、乳海撹拌のレリーフです。乳海撹拌とは、ヒンドゥー教における天地創造の神話のことで、かいつまんで記すと、亀クールマ(ヴィシュヌ神の化身)に大マンダラ山を乗せ、大蛇ヴァースキを絡ませて、片側を神々が、反対側をアスラが綱引きのようにして引っ張り、山を回転させて海がかき混ぜられ、いろいろなものがまざって乳海(ミルクの海)になった。さらに長いこと回転を続ける内にその中から、象、馬、牛、その他この世のものが次々と生まれてきた。最後に不老不死の妙薬アムリタが得られる。アムリタを巡っては神々とアスラの間でいろいろと駆け引きが行われる・・・

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綱引きの中央、亀とその上に乗ったマンダラ山、巻かれた大蛇とそれを引っ張る神々とアスラが描かれています。

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これは、建物を出て、出口に向かう庭に設置された乳海撹拌の看板です。左側に英語で「The Churning of ths Sea of Milk (乳海撹拌)」と書かれています。
日本の神話でも天地創造の話がありますが、ちょっと似ていますね。日本では神様が海を矛でかき混ぜて、その矛から滴り落ちたものが島を形作り日本の原型になったということでした。これは古事記に載っています。おそらく古い時代に宗教が互いに影響しあってそれぞれの国の神話になっていったのでしょう。
カンボジアでは乳海撹拌の神話は良く浸透しているようで、ホテルの庭にも蛇を引っ張る神々の像がありました。