おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

さまよう刃



先月映画公開された「さまよう刃」の原作を読みました。映画の方は観ていません。本を読んでから観ようと思っていたら、地元の映画館ではもう終了してしまいました。映画の評価はそれほど高くはなかったようですが。

妻に先立たれた長峰には、目の中に入れても痛くないほど大切にしている娘がいた。花火大会の帰りに娘は不良少年の餌食になり、陵辱された上、覚醒剤の投与によるショックで死んでしまう。少年犯罪の場合、成年と異なり、本人の更生を図ることを基本とした処置がとられる。それが少年法である。長峰は娘を殺した少年達が逮捕されたとしても、厳罰に処せられるわけではなく、いずれ社会復帰することに心の底からの憤りを感じていた。それならば、自らの手で愛娘の復讐を遂げよう。長峰は、自らの生活を捨て、昔射撃をやっていたときの猟銃を手に、復讐者の道を踏み出す。果たして彼の復讐は成し遂げることができるのだろうか?

この小説を読み終わり、社会の不公平、少年法の問題とともに、人間の運命の不平等に打ちのめされました。どの人も平等に生きられるべきなのに、現実には悲惨な生き方を強いられる、そんな悲しい運命を背負った人が少なからずいます。長峰はその最も典型的な人間として描かれていると思いました。

この本を読んで、あまりの悲惨さに、再び読むことはできないという人もいるでしょう。実際、私の回りの人は少なからず、そうなのです。ですから、この本を強く進めるわけではありませんが、いろいろと考えさせられる点の多いのは事実だと思います。