たけくらべ
五千円札にもなった樋口一葉の代表作「たけくらべ」ですが、今まで読んだことがありませんでした。自分の誤解かもしれませんが、この世の中に「樋口一葉」と「たけくらべ」という言葉を知っている人は大勢いるけれど、その内容を知らない人もまた大勢いるのではないでしょうか。かくいう私もそのひとりでした。
さて、今回読んだのは「青空文庫」というインターネット上の無料の電子本です。iphoneで読みました。この作品は樋口一葉の作品の中では長い方なのだそうですが、それでも、夏目漱石の「こころ」の5分の1ほどの短さです。しかし、文語でしたので、沢山判らないところがありました。今でも判らなかったところはそのままです(~~);;;。文語が苦手な人には、「たけくらべ」の現代語訳もあるそうですから、そちらがお勧めかもしれません。この本が書かれたのは、1896年、明治29年です。今から100年以上も前ですね。なお、この年に樋口一葉は24才で亡くなっています。
今、文語だから判らない、と書きましたが、逆に文語だから味わいがある、とも言えます。ちょっと抜き書きしてみましょう。十一の書き出しの部分です。
「正太は潜りを明けて、ばあと言ひながら顔を出すに、人は二三軒先の軒下をたどりて、ぽつぽつと行く後姿、誰れ誰れだ、おいお這入りよと聲をかけて、美登利が足駄を突かけばきに、降る雨を厭はず駆け出さんとせしが、あヽ彼奴だと一ト言、振りかへって、美登利さん呼んだっても来はしないよ、一件だもの、と自分の頭(つむり)を丸めて見せぬ。
信さんかへ、と受けて、嫌な坊主ったら無い、屹度筆か何か買ひに来たのだけれど、私たちが居るものだから立聞きをして帰ったのであらう、意地悪の、根生(こんじゃう)まがりの、ひねっこびれの、吃(どんも)りの、歯(はっ)かけの、嫌やな奴め、這入って来たら散々と窘(いぢ)めてやる物を、・・・・・」
まあ、こんな調子の文章です。樋口一葉の頃はまだ、書き言葉と話し言葉が違う時代だったんですね。さて、この「たけくらべ」の内容ですが、将来は遊女になる少女美登利と僧侶の息子信如(のぶゆき)との恋心を、当時の吉原のこどもたちの生活を背景に描いたものです。100年以上も前のことなので、今とは違う習慣や生活が描かれていて、先ほども書きましたが、判らないところが沢山ありました。現代語訳や、解説本を読まないと理解はなかなかできそうもありません。とりあえず、一通り読んだということで、今回は満足することにします。内容のない紹介でスミマセン。m(/\)m:::