おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

悪人


 モントリオール世界映画祭で、深津絵里さんが最優秀女優賞をとってから、この映画を観る人で映画館がものすごく混んでいるんだそうです。

 

 主演は妻夫木聡さん、助演深津絵里さん、二人の演技にはこの役に命がけで取り組んでいる情熱を感じました。またその二人を回りの俳優(柄本明、樹木希林、岡田将生、満島ひかり)がしっかりと支えていて、素晴らしい作品に仕上がっています。もちろん、監督の李相日さんの手腕も見事です。彼はあの傑作「フラガール」の監督です。

 

  オフィシャルサイト「悪人」

 

(注意)このさき、かなりネタバレになっていますので、読みたくない方は、ここで止めて、まず映画を観ましょう。

 

 

 主人公、清水祐一は恵まれない家庭環境に育ち、孤独で言葉少ない青年だった。仕事は肉体労働、家では年老いた祖父母の面倒を見なければならない。毎日が同じルーチンの繰り返し。両親はいない。そんな彼の気休めはケータイの出会い系だった。しかしそれもそう頻繁にというわけではない。そして知り合った光代というごく平凡な女性と彼は一夜をともにする。祐一はセックスのために会ったのだが、彼女は本当の出会いを求めていた。祐一も彼女の純粋な気持ちに気づき、二人は付き合い始める。ところが祐一はあることを秘密にしていた。それは彼が人を殺していたということだ。二人は警察の捜査から逃れるためにある場所へ行く。しかし当然逃げ切れるはずもなく、運命の日は確実に近づいてくるのだった。

 祐一の人生は限りなく悲しい。救いというものがありません。彼の中で輝きというものがほんの少し生まれたのは、光代とあの場所で美しい太陽を見たその瞬間だけだったでしょう。

 

 とにかくこの映画は観る価値のある作品です。ぜひご覧になって、感想を共有できれば、それに過ぎることはありません。