
主人公は、青年探偵、帆村荘六(ほむらそうろく -- あの有名なシャーロック・ホームズのもじり)。物語は鴨下ドクトルと呼ばれる学者の留守宅から発生した異臭から始まる。調査に乗り出した帆村と警察は変死体を発見。同じ頃、「蝿男」と名乗る怪人物からの殺人予告が、玉屋総一郎という大金持ちに届く。警察の大掛かりな警備体制の中「蝿男」は密室殺人を成し遂げた。果たして「蝿男」とは。その正体は。謎が謎をよぶミステリー。帆村は果たして「蝿男」を捕まえることができるのか?
この作品を読むと、その文章は、作品の生まれた1937年を思わせる、少し大げさな言い回しですが、その内容は、ちっとも古臭さを感じさせない、痛快なストーリーです。コナン・ドイルやモーリス・ルブランにも負けない力作だと思いました。
海野十三の作品は書店では見かけませんが、幸い、青空文庫に沢山の作品が登録されています。「蝿男」、無料で読むことができます。携帯用の青空文庫リーダーもあります。ぜひ、読んでみてはいかがでしょうか。