英語で分数のことを「fraction」といいます。 ところで、fractionは元々どういう意味なのでしょうか? 辞書を引くと
fractionは「壊れたもの」が原義で、
- 一部、小部分、断片、端数
- a fraction で副詞的に「少し」
- 分数
などとなっています。 (出典:ジーニアス英和辞典第3版)
これから、例えばりんごが5個と半分あったときの、はんぱ(半分)ことを指すものだったのではないでしょうか。
真分数と仮分数
分子が分母より小さい分数を「真分数」といいます。 例えば1/2や2/5などは真分数です。 これはさきほどの「はんぱ」にぴったりです。 日本語でも真の分数というのは、英語に共通しますね。
英語では真分数を「a proper fraction」といいますが、「proper」は適切な、正式の、という意味で日本語の「真」に相当するものでしょう。
これに対して分子が分母よりも大きい分数を「仮分数」といいます。 例えば5/2は仮分数です。 5/2は2と1/2になるので、「はんぱ」と「本体」が混ざっています。 それで「真」ではなく「仮」の分数となっているのでしょう。
英語では仮分数は「an improper fraction」です。 「improper」は「proper」の反対語で、ふさわしくない、妥当でないという意味です。
帯分数
5/2は2と1/2の和になります。 これを足し算の「+」を略して書くのを帯分数と言います。
一番右側が帯分数です。
仮分数と比べ、帯分数には整数部分があるので、その大きさをイメージしやすいという利点があります。 そのため、小学校では帯分数がよく用いられます。
英語では帯分数を「a mixed fraction」といいます。 「mixed」は混ざった、混成のという意味で、整数と真分数が混ざった分数という意味になります。
仮分数が帯分数よりも有利なのは、計算です。 とくに掛け算、割り算では仮分数の方が帯分数よりも簡単に計算できます。
帯分数のまま掛ける方法はあまりに面倒なので、先に仮分数に直してから計算するのが正しいやり方です。
いずれにしても計算に有利な仮分数を中学、高校以降は多用するようになります。
繁分数
分数の中に分数があるものを繁分数といいます。 たとえば、
左辺が繁分数、右辺はそれを普通の分数に直したものです。
繁分数は英語で「a complex fraction」または「a compound fraction」といいます。 「complex」は複合の、入り組んだ、という意味、「compound」は複数の部分からなる、合成の、という意味です。
小数
分数は小数に直すことができます。
小数も分数もはんぱな部分を表す点では同じで、英語では小数もfractionです。 ただし、decimal(小数の、10進法の)をつけて「a decimal fraction」といいます。
日本語では小数と分数は言葉の上では全く別物ですが、英語では両方ともfractionというのが面白いところです。
なお、分数を小数と区別して表したいときは、「a common fraction」といいます。 「common」は普通のという意味です。
比
日本語の「分数」は分けた数、分割した結果、という意味から来ていると思います。 その点では、分数は比と関連付けた言葉ということができます。
英語の半端な数、端数という意味のfractionとは言葉の成り立ちが違う感じがしますね。