おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

斜陽


 

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 太宰治が流行っているそうです。私は文学とは程遠い人間ですが、家族が太宰の本を何冊も買ってきてしまったので、その中の1冊を借りて読むことにしました。代表作「斜陽」です。一気に読み終えました。この作家は上手い文章を書くなあ、というのが第一の感想です。上手い文章というのは、すらすらと読める文章です。私は今まで読みやすい文章を書くには、だらだらと長くせずにできるだけ短めにするのがコツだと思っていました。ところが、「斜陽」は文が長いのです。長いけれど読みやすいのです。そして、「斜陽」の場合は、短い文章で書いてしまっては、その持つ雰囲気ががらりと変わってしまって、台無しになってしまうでしょう。作家ってすごいなあ、と感心しました。作家なんだから当たり前ですが、それでも今まで読んだ他の作品とは違うなあと思いました。
「斜陽」は没落していく貴族の話で、主な登場人物は皆弱々しく、暗く、人世に否定的です。あるいは、逆に生きることを肯定しますが、生きることは途轍もなく大変な事なのだから、堕落した生活を送ったり、悪いことをして生きても仕方がないんだ、というような合理化をしています。この辺は読者の好みの分かれるところでしょう。しかし、太宰治が現在読まれている、ということは、悩みを抱えながら生きている人、そして太宰の文学に共感を持つ人が少なくない。そういう困難な世の中になっているのだと思います。昨年暮れには、日比谷公園で派遣村が作られました。これは、困難な世の中に対する太宰とは違ったアプローチです。先日の私の日記に書いたエコの話も小さい行動ですが、同じくプラスのアプローチです。これからは、私たち一人ひとりが何らかのアクションを起こさなくてはいけないのではないでしょうか。「斜陽」を読んでそのまま受け容れるだけでは、何も解決しない、と思います。