カンボジアという国
今回の旅行では、遺跡の観光だけではなく、カンボジアという国を知ることもできました。今回は最終回として、カンボジアのことを書きたいと思います。カンボジアの現代史
カンボジアは約90年の間(1863-1953)フランスの植民地でした。その後シハヌーク政権(シハヌーク氏は18才で国王になるが、政治家となるため退位し、カンボジアの首相となる)、1970年~1975年は親米派のロン・ノル政権(軍事クーデターで政権掌握)、1975年~1979年はポルポト政権、その後内戦が続き、1998年にポルポトの死去に伴い、ポルポト派が謝罪し内戦が終了しました。この間に国土は荒廃し、多数の人が死にました。特にポルポト政権時代には大量の虐殺が行われました、詳しいことは省略しますが、日本の戦後と違い、カンボジアは非常に不幸な内戦の時代を過ごしてきたのです。カンボジアの現代史に関わる映画
私はまだ観ていませんが、2つ映画を教えてもらいました。「地雷を踏んだらサヨウナラ」 ポルポト派に殺された報道写真家一ノ瀬泰造の映画
「キリングフィールド」 ポルポト時代のジャーナリストを描いたアメリカ映画
カンボジアの社会
このような歴史のために、国民の政治に対する信用はある意味で非常に低くなっています。例えば銀行にお金を預けるということをしません。もしも政権が変わったり、内戦になったりすれば、預けたお金が帰ってくる保証が全くないからです。またカンボジアには年金制度がありません。これは日本とは社会システムが違うためだと思いますが、新たに年金制度を作るのは相当に困難だと思われます。なぜなら、もしも内戦になるようなことがあれば、積み立てた年金がきちんと払われるかどうか分からないから、掛金を払う人がいないと見込まれるからです。こういう信用に基づく制度が成り立つためには政治が安定していなければならないということが良く分かります。そのかわり、仏教を軸にした地域社会が人々を支えています。お坊さんはこどもたちに正しいこと間違ったことを教えます。そして悪いことをすれば地獄に堕ち良い行いをすれば天国に行けると説きます。宗教的な倫理観が社会を安定させていると思われます。さきほど年金制度がないと書きましたが、その代わり地域のコミュニティーが人々を支えています。そもそも日本と違い、カンボジアは貧しい国ですから、生活のために多くのお金を必要としません。このような社会では、お金よりも地域の助け合いの方がより大切なのです。