おもこん

おもこんは「思いつくままにコンピュターの話し」の省略形です

宿命


 東野圭吾さんの本を続けて読んでいました。今回は「宿命」です。この作品は20年前の1990年に発表されました。長編の本格推理小説です。

 

 主人公の勇作には、小さい頃からの宿敵、瓜生晃彦がいた。すべての面において優等生だった勇作も、晃彦にはかなわなかった。勇作には恋人がいたが、恵まれない環境の勇作は彼女と一緒になることが本当に相手のためになるのか疑問に思い、愛しながらも別れる道を選んでしまった。やがて勇作は警察官になり、ある殺人事件の捜査に加わる。偶然にもそこで晃彦に再会するが、なんとその妻がかつての勇作の恋人だった。ここでも宿敵にやられてしまうとは。

 殺人事件とは全く関係のないように見えるこの2人の関係だが、実は深く事件に関わっているのだった。その真実とは・・・

 

 「宿命」、ウィキペディアで引くと、「運命」に転送されました。若干ニュアンスが違うようにも思いますが、「宿命」にしろ「運命」にしろ、我々の現実の生活にもそういう避けがたいものがあるように思います。その最も先鋭な形が小説になったのが、この作品だと思いました。この作品ほどではないにしろ、人それぞれ、宿命のようなものを感じることがあるのではないでしょうか。このDaysにしても、それまで全く違った場所で違った生活を送っていた人たちが結びついていくわけです。本当に何万分の一の確率でそういうことがあるわけですから。でも、もしかしたら、この小説のようにその背後にはその偶然が起こるような必然が横たわっているのかも?

 

 この小説では、読者が宿命の謎解きに挑戦しながら楽しむこともできます。あなたもいかがですか?